新天地探しへの険しい道…実績十分もいまだ去就が見えない選手たち

元ソフトバンク・松坂大輔【写真:荒川祐史】

村田は巨人を戦力外、松坂はマウンドに立つことを目指して退団も…

 11月下旬となり、プロ野球では各球団の補強が続いている。今オフは7選手がフリーエージェント(FA)権を行使し、16日から他球団との交渉が解禁となった。また、15日にはトライアウトが開催され、今季限りで戦力外となった選手を補強する動きも出ている。

 一方で、球団から放出されながら、いまだ去就が決まらない選手もいる。大きな注目を浴びているのが、巨人を戦力外となった村田修一内野手だ。通算360本塁打のスラッガーは、第1次戦力外通告期間最終日に巨人から来季の契約を結ばないことが発表され、球界に衝撃が走った。

 今季序盤は代打中心の起用となりながら、終わってみれば打率.262、14本塁打、58打点をマークした村田。他球団がすぐに獲得に動くかと見られていたものの、まだ新天地は決まっていない。巨人からは同じ「松坂世代」の實松一成捕手も戦力外となっている。

 同世代の“主役”である松坂大輔投手は、ソフトバンクを退団した。球団は復活を目指す本人の意志を尊重し、支配下登録から外れてコーチ契約を結んだ上で、復帰を目指す道筋を提示したようだが、退団を選択。再びマウンドに上がることを目指しているが、日本球界復帰後は3年間で1軍登板1試合のみに終わっており、新天地探しへの道は険しい。

 この他、「松坂世代」ではDeNAの久保康友投手が自由契約、西武の木村昇吾内野手が戦力外となり、来季所属先が決まっていない。

豊富な経験誇る選手、かつてのドラ1も…

 また、豊富な実績を誇る選手では、通算534試合登板で31勝30敗167セーブ107ホールドを誇る武田久投手が、15年間在籍した日本ハムを退団。ソフトバンクからは、通算139試合登板で52勝48敗、防御率3.29の大隣憲司投手が戦力外となり、11年間プレーしたホークスを去ることになった。ともにまだ新天地は決まらず。大隣は、現役続行を目指してトライアウトにも参加した。

 自由契約扱いで広島を退団した梵英心内野手も、まだ去就が見えてこない。2005年の大学生・社会人ドラフト3位で入団し、2010年には144試合出場でリーグトップの44盗塁を記録するなど、通算1096試合出場の実績を誇る。

 DeNAから戦力外となった林昌範も、豊富な経験のある投手。巨人で先発、中継ぎとして活躍後、トレードで日本ハムに移籍。2011年限りで戦力外となったが、DeNAと契約し、ブルペンを支えた。最近2年間は登板がない。

 飯原誉士外野手(ヤクルト戦力外)、柳瀬明宏投手(阪神戦力外)もプロで実績を残したベテランだが、まだ所属先が決まらず。この他、かつての“ドラ1組”では、片山博視投手(楽天戦力外)、松本啓二朗外野手、柿田裕太投手(ともにDeNA戦力外)、野村亮介投手(中日戦力外)が現役続行を目指してトライアウトに参加も、他球団から声がかかっていない。

 この中からいったい何人が来季もNPB球団のユニホームを着ることになるのか。まだ残された時間は十分にある。

(苅田俊秀 / Toshihide Karita)

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