最近の“当たり年”は? ヤクルト過去10年のドラフト査定

ヤクルト・中村悠平【写真:荒川祐史】

正捕手中村は2008年ドラフト3位入団、同期メンバーは…

 シーズンを終えたプロ野球ではストーブリーグが始まった。今年もドラフトで選手が入団し、新陳代謝が起こっている。大きな期待を寄せられて入団してくる選手たちはどのような活躍を見せてくれるのか。新シーズンの楽しみの一つだが、ここではここ10年のドラフト入団選手の実績を振り返って、各球団のドラフト査定をしてみたい。

 まずはセ・リーグ、今季最下位のヤクルトから。2008年以降のドラフト入団選手の通算成績について見ていこう。通算成績は他球団移籍後も含まれる。※は現時点での現役選手。

〇2008年
1位・赤川克紀 投 宮崎商業高・14勝20敗0S0H 防御率4.17
2位・八木亮祐 投 享栄高・11勝22敗0S2H 防御率4.25、オリックスへ※17年戦力外
3位・中村悠平 捕 福井商業高・664試474安19本185点9盗 打率.240※
4位・日高亮 投 日本文理大附属高・5勝3敗0S16H 防御率4.19ソフトバンクへ
5位・新田玄気 捕 パナソニック・28試10安1本9点0盗 打率.313
育1位・ラファエル・フェルナンデス 投 白鴎大学・1勝0敗0S0H 防御率8.31
育2位・塚本浩二 投 香川オリーブガイナーズ・(1軍出場なし)

 今、ヤクルトで活躍しているのは正捕手になっている3位の中村だけ。他の選手は大半が引退し、オリックスに移籍した八木も今オフ戦力外通告を受けた。フェルナンデスは球団で通訳をしているが、今年のトライアウトに挑戦した。

〇2009年
1位・中澤雅人 投 トヨタ自動車・12勝14敗0S7H 防御率4.59※
2位・山本哲哉 投 三菱重工神戸・6勝11敗14S55H 防御率3.04※
3位・荒木貴裕 内 近大・319試165安12本61点10盗 打率.238※
4位・平井諒 投 帝京五高・4勝4敗1S9H 防御率3.90※
5位・松井淳 外 日大国際関係学部・78試57安5本16点1盗 打率.265
育1位・曲尾マイケ 外 青森山田高・(1軍出場なし)
育2位・麻生知史 内 日大国際関係学部・(1軍出場なし)

 中澤、山本が中継ぎ投手として活躍している。荒木は内野のユーティリティとして今季は91試合に出場した。

外れ外れ1位の山田がブレイクした2010年ドラフト

〇2010年
1位・山田哲人 内 履正社高・682試762安133本396点102盗 打率.298※
2位・七條祐樹 投 伯和ビクトリーズ・8勝5敗1S2H 防御率4.52
3位・西田明央 捕 北照高・137試75安10本38点1盗 打率.210※
4位・又野知弥 外 北照高・(1軍出場なし)
5位・久古健太郎 投 日本製紙石巻・8勝6敗2S49H 防御率4.20※
6位・川崎成晃 外 熊本ゴールデンラークス・38試7安0本1点1盗 打率.194
育1位・北野洸貴 外 神奈川大・(1軍出場なし)
育2位・上野啓輔 投 香川オリーブガイナーズ・(1軍出場なし)
育3位・佐藤貴規 外 仙台育英高・(1軍出場なし)

 山田哲人は外れ外れ1位だったが、今や球団の顔になった。西田は中村悠平に次ぐ2番手捕手。佐藤貴規は由規の弟だが、すでに退団している。

〇2011年
1位・川上竜平 外 光星学院高・(1軍出場なし)
2位・木谷良平 投 日本文理大・7勝9敗0S3H 防御率5.61
3位・比屋根渉 外 日本製紙石巻・357試162安4本33点49盗 打率.237※
4位・太田裕哉 投 日本製紙石巻・(1軍出場なし)
5位・中根佑二 投 東北福祉大・(1軍出場なし)
6位・古野正人 投 三菱重工神戸・8勝11敗0S2H 防御率5.31※17年オフ自由契約
育1位・徳山武陽 投 立命館大・3勝4敗0S3H 防御率4.55
育2位・金伏ウーゴ 投 白鴎大・0勝0敗0S0H 防御率27.00

 2011年入団で今季1軍で出場したのは比屋根だけ。ドラフト1位の川上は外野手から内野手に転向したが、成績が上がらず2016年に戦力外になった。

〇2012年
1位・石山泰稚 投 ヤマハ・15勝22敗10S48H 防御率3.81※
2位・小川泰弘 投 創価大・52勝34敗0S1H 防御率3.40※
3位・田川賢吾 投 高知中央高・(1軍出場なし)※17年オフ自由契約
4位・江村将也 投 ワイテック・3勝1敗0S7H 防御率5.53
5位・星野雄大 捕 香川オリーブガイナーズ・1試0安0本0点0盗 打率―※17年オフ戦力外
6位・谷内亮太 内 国学院大・118試63安2本30点0盗 打率.227※
7位・大場達也 投 日立製作所・0勝0敗0S1H 防御率2.84

 エースの小川、中継ぎで活躍する石山の両投手が出た。谷内亮太は守備固めでの出場が中心。

〇2013年
1位・杉浦稔大 投 国学院大・6勝8敗0S0H 防御率4.95 日ハムへ※
2位・西浦直亨 内 法大・184試111安9本46点13盗 打率.238※
3位・秋吉亮 投 パナソニック・17勝15敗34S61H 防御率2.45※
4位・岩橋慶侍 投 京都産業大・1勝3敗1S5H 防御率4.42※
5位・児山祐斗 投 関西高・(1軍出場なし)
6位・藤井亮太 捕 シティライト岡山・129試85安2本14点5盗 打率.241※

 最近ではこの2013年が当たり年。杉浦は2017年シーズン中に移籍したが、内野のポジションをうかがう西浦、クローザーの秋吉が出た。6位の藤井良太も今季は三塁手として97試合に出場している。

〇2014年
1位・竹下真吾 投 ヤマハ・0勝0敗0S0H 防御率13.50※17年オフ戦力外
2位・風張蓮 投 東農大北海道オホーツク・0勝0敗0S0H 防御率7.53※
3位・山川晃司 捕 福岡工大附属城東高・(1軍出場なし)※
4位・寺田哲也 投 香川オリーブガイナーズ・0勝1敗0S1H 防御率10.80
5位・中元勇作 投 伯和ビクトリーズ・(1軍出場なし)
6位・土肥寛昌 投 Honda鈴鹿・0勝0敗0S0H 防御率6.10※17年オフに戦力外
7位・原泉 外 第一工大・(1軍出場なし)※17年オフに戦力外
育1位・中島彰吾 投 福岡大・0勝0敗0S0H 防御率10.57※17年オフに戦力外

 投手が8人中6人いるが、まだ誰も勝利を挙げていない。野手は1軍出場なし。なかなか厳しい結果になっている。

楽しみな若手が出ている2015年ドラフト組

〇2015年
1位・原樹理 投 東洋大・5勝19敗0S0H 防御率4.54※
2位・廣岡大志 内 智辯学園高・13試10安1本4点0盗 打率.286※
3位・高橋奎二 投 龍谷大平安高・(1軍出場なし)※
4位・日隈ジュリアス 投 高知中央高・(1軍出場なし)※育成再契約
5位・山崎晃大朗 外 日大・66試56安1本13点6盗 打率.236※
6位・渡邉大樹 内 専大松戸高・2試0安0本0点0盗 打率.000※

 楽しみな年。原樹理は大きく負け越しているが、先発で健闘した。廣岡は2軍の主軸となり、1軍をうかがう。山崎は今季1軍で59試合に出場した。

〇2016年
1位・寺島成輝 投 履正社高・0勝0敗0S0H 防御率15.00※
2位・星知弥 投 明大・4勝7敗0S2H 防御率4.73※
3位・梅野雄吾 投 九産大九産高・0勝1敗0S0H 防御率6.75※
4位・中尾輝 投 名古屋経大・0勝1敗0S0H 防御率11.25※
5位・古賀優大 捕 明徳義塾高・(1軍出場なし)※
6位・菊沢竜佑 投 相双リテック・0勝0敗0S0H 防御率6.00※
育1位・大村孟 捕 石川ミリオンスターズ・(1軍出場なし)※

 山田哲人の後輩、履正社の寺島は1試合だけ1軍で投げた。星は弱体化する投手陣を支える一人となった。梅野、中尾、菊沢も1軍で投げている。

2017年
1位・村上宗隆 捕 九州学院高
2位・大下佑馬 投 三菱重工広島
3位・蔵本治孝 投 岡山商科大
4位・塩見泰隆 外 JX-ENEOS
5位・金久保優斗 投 東海大市原望洋高
6位・宮本丈 内 奈良学園大
7位・松本直樹 捕 西濃運輸
8位・沼田拓巳 投 石川ミリオンスターズ

 高校では広陵の中村奨成に次ぐ評価の村上を獲得。他は大学、社会人の即戦力が多い。

 過去10年の実績を振り返ると、他球団に比べて一人前に育った選手が少ない印象がある。2017年の新人から、どれだけスター選手が出るだろうか。

(Full-Count編集部)

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