FA市場NO1、ダルビッシュが評価される理由 MLB公式サイトが数値で“証明”

去就が注目されるドジャース・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

数値が示すダルビッシュの凄さ、奪三振率は“歴代NO1”&直球回転数もトップクラス

 今オフ、あらゆる米メディアからフリーエージェント(FA)市場「NO1」の評価を受けているダルビッシュ有投手。レンジャーズから7月にドジャースに移籍した今季は、31試合先発で10勝12敗、防御率3.86、186回2/3を投げて209奪三振という成績だった。去就にワールドシリーズでの2試合連続KOが響くとの見方もあるが、メジャートップクラスの先発投手として大型契約を手にする可能性が高い。

 ダルビッシュがエース級の投手であることは、数字が証明している。MLB公式サイトは「球団がダルビッシュを獲得するべき5つの理由」と題した特集記事を掲載。その凄さを項目別に紹介している。5つの理由とされているのは「彼は三振を奪うことができる」「彼は刺激的な球を持っている」「ダルビッシュの球を打つのは非常に困難」「彼は毎シーズン生産的である」「彼のスライダー」だ。

 右腕の9イニングあたり奪三振数が、先発投手として“史上最高”であることは、これまでも何度も報じられてきた。記事では「彼の(今季の)9イニングあたりの奪三振数は10.1であり、5シーズン連続で2桁を記録した。ダルビッシュの通算での9イニングあたりの奪三振数は11.0。彼の初年度である2012年以降、有資格(規定投球回到達)投手の間では2番目に高い数字である」と指摘。2012年以降でダルビッシュを上回っているのは、昨年9月にボート事故で急逝したホセ・フェルナンデスしかいないという。

 9イニングあたりの奪三振数11.2のフェルナンデスの通算イニング数は471回1/3。800イニング以上を投げた選手に限定すると、ダルビッシュは先発投手の中で歴代1位の数値をマークしている。記事によると、「先発投手の通算最高奪三振率(最低800イニング)の順位は1位ダルビッシュ(29.7%)、2位クリス・セール(29.2%)、3位スティーブン・ストラスバーグ(29.2%)、4位ランディ・ジョンソン(28.6%)、5位クレイトン・カーショー(27.9%)となっている。

 また、「刺激的な球」の項目では「ダルビッシュはあらゆる方向へ変化する素晴らし球を多く持っており、打者を打ち負かすことが出来る」と評価。特筆しているのは、フォーシーム(直球)の回転数だ。ダルビッシュの2017年の直球平均回転数2499回/分は3位で、上にはジャスティン・バーランダー(2541回/分)、マックス・シャーザー(2504回/分)というメジャーを代表する2人の右腕しかいないという。

通算被打率、スライダーの質の高さも特筆

「高回転のファストボールには”ライジングボール”効果があり、より多くの空振りを奪うことが出来る。そして高めの球になると、特により効果的になる。2017年、ダルビッシュのフォーシームがストライクゾーン上部1/3、もしくはそれ以上のゾーンで被打率.153を記録しており、これは4番目に低い数字である」

 浮き上がるような力強い直球は、まさにメジャー有数。2017年の直球平均回転数でバーランダー、シャーザー、ダルビッシュに続いたのは、ソニー・グレイ(2490回/毎分)、ジェフ・サマージャ(2485回/毎分)だったと、記事では紹介している。

 続いて「ダルビッシュの球を打つのは非常に困難」という項目では、被打率の低さを紹介している。通算被打率.219は、同期間(2012年以降)ではメジャー5位の数値。寸評では「今シーズン、敵打者はダルビッシュを相手に行ったスイングのうち28、2%が空振りであった。また、7月21日のレイズ戦では31の空振りを奪った。これはMLBの今シーズン最多奪空振り数である」とも伝えている。なお、2012年以降の期間での被打率上位4人は、クレイトン・カーショー(.196、ホセ・フェルナンデス(.206)、マックス・シャーザー(.209)、ジェイク・アリエッタ(.211)、ユウ・ダルビッシュ(.219)だという。

 また、「生産性の高さ」はこれまでも高く評価されているが、それを支えている球種の1つが「スライダー」だ。記事では、ワールドシリーズの乱調は「スライダーの感覚を失っていたことに起因する」と指摘。その上で「調子が良いときは、ビデオゲームのような変化を見せる」と“宝刀”を絶賛している。

 トミー・ジョン手術後も威力は衰えておらず、2016年以降のスライダーの被打率.151は、メジャー5位だという。上にいるのは、ディネルソン・ラメット(.139)、カルロス・マルティネス(.146)、マックス・シャーザー(.147
)、ショーン・マネイア(.150)の4人。決め球も、やはりメジャートップクラスの破壊力を誇ると、MLB公式サイトは特筆している。

 あらゆる数値でメジャートップクラスだからこそ、ダルビッシュの評価は高い。エースとして迎え入れる球団は、いったいどれだけの契約を用意するのか。年内に去就が決着する可能性は十分にあるだけに、目が離せない。

(Full-Count編集部)

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