【MLB】「大谷がヤンキースを選ぶべき4つの理由」とは? 地元メディアが特集記事

去就が注目される日本ハム・大谷翔平【写真:石川加奈子】

大谷がヤンキースに入団することで得られるメリットは?

 ついにメジャー挑戦に踏み切る大谷翔平投手。日本ハムは12月1日にもポスティングシステム(入札制度)の利用を申請する見込みで、大争奪戦が本格的に幕を開けることになる。

 米メディアの中で、最有力候補として度々名前が挙がっているのが、メジャー随一の名門ヤンキースだ。多くの選手がピンストライプのユニホームに憧れる“ブランド力”に加えて、新労使協定のもとで制限される大谷の契約金の枠を、レンジャーズの353万5000ドル(約3億9340万円)に続いて2番目に多い350万ドル(約3億8990万円)残していることも、大きな理由の1つとされる。当然、常勝軍団であるということも選手にとっては大きな魅力であり、すでに二刀流での起用にも寛容な姿勢を示している。

 では、地元メディアが見る“魅力”とは何なのか。ニュージャージー州最大のニュースサイト「NJ.com」は「オオタニがヤンキースを選ぶべき4つの大きな理由」と題した特集記事を掲載。ヤンキース番のブレンダン・カティ記者が、なぜ大谷がヤンキースにフィットするかを分析している。

 最初に挙げられているのは、現在のヤンキースの強さだ。「現在、勝利するチャンス」として、今季のポストシーズンでは、世界一に輝いたアストロズとリーグ優勝決定シリーズ第7戦までもつれる熱戦を演じたことを紹介。その多くのメンバーが来季も残留すると言及している。

 その上で「オオタニがもしヤンキースに加われば、彼は過去2年でサイ・ヤング賞候補10人の中に選出された2人のスターターを擁するローテーションの最前線に入るだろう」と指摘。昨年のサイ・ヤング賞投票で7位に入った田中将大投手、今年の投票で3位だったルイス・セベリーノ投手が来季も先発ローテの軸となるが、大谷は「最前線」に入るという。

 さらに、打者としても「ラインナップの更なら飛躍につながる根拠も数多くある」と指摘。伸び盛りのアーロン・ジャッジ、ゲイリー・サンチェスといった強打者とともに大谷が打線を形成すれば、破壊力はさらに増すというのだ。

 そして、これらのメンバーが全員若いことも、今のヤンキースの大きな魅力。来年以降、黄金時代が訪れる可能性は大いにある。カティ記者は「近い将来の勝利」を2番目の理由に挙げ「オオタニは7月までは24歳にならず、セベリーノは23歳、ジャッジは25歳、サンチェスは24歳である。ヤンキースは、この先何年もメジャーで結果を出す用意が整っている」としている。

米国中にファンがいるヤンキース

 その他、今季もメジャーでプレーしたグレイバー・トーレス内野手、クリント・フレイジャー外野手らは将来を嘱望されており、マイナーにも有望株が多数在籍していると指摘。今後の見通しは明るい。

 3つ目で挙げられているのが「ブロンクスで名を馳せた歴代のスター日本人選手たち」。2009年のワールドシリーズでMVPに輝いた松井秀喜氏を筆頭に、現在のエース田中、マリナーズから移籍して2年半プレーしたイチロー外野手の名前を列挙。黒田博樹氏も2012年から3年間、先発ローテの軸としてチームを支え、チームメートやファンから絶大な信頼を勝ち取っていた。日本人が活躍できる環境が、ヤンキースにはあるというのだ。

 最後の1つは、ズバリ「知名度」。米国では地元球団を愛する人が多いが、ヤンキースのファンは全米にいるため、敵地でも声援を浴びることが多い。ヤンキースで活躍すれば、「知名度」はグンと上がる。

 記事では「もしデレク・ジーターがヤンキースでプレーしていなかったら、現在の彼は存在しない、というようなことを多くのアンチ・ヤンキースは思うだろう。確かに、それはおおよそ合っている。ヤンキース、そしてニューヨークのためにプレーすることは、メジャーの他のどのマーケットでプレーするよりも多くの注目を集める」と指摘している。

 さらに、カティ記者は「タナカやマツイがピンストライプに袖を通した理由として、それも考慮したというのは否めない」とも推測。確かに、松井氏はメジャー挑戦時にヤンキース入団を熱望していた。田中は「最も評価してくれた」とヤンキースを選んだが、契約破棄の権利を持っていた今オフは、チームへの愛着から残留を決断した。カティ記者は「それを逃すなんてことをしたら、オオタニは浅はかである」と結論づけている。

 この“ブランド力”が大谷にも通用するかは分からない。ただ、ヤンキースでのプレーに憧れ、契約を決断したという選手が多くいることも確か。球団だけでなく、地元メディアもスーパースターの獲得を熱望しているようだが、果たしてどうなるか。名門が大谷のハートをつかめるのか、注目だ。

(Full-Count編集部)

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