進藤・鉄連会長、政府検討の「賃上げ企業の税優遇」 「労使間で決めるのが基本」

 日本鉄鋼連盟の進藤孝生会長(新日鉄住金社長)は27日の定例会見で、来年度税制改正で賃上げ実施企業の法人税を軽減する制度を政府が検討していることについて、制度の詳細が分からないのでコメントできないとしつつ、一般論として「賃上げは、そのときの経営環境、企業の体力などを見ながら、労使間で決めていくのが基本」と述べ、賃上げを促す税制に疑問を投げかけた。

 税制改正については、鉄連など9団体が11月にまとめた共同要望に触れ、IoT促進税制の創設、償却資産に対する固定資産税の撤廃などを実施してほしいと強調した。法人実効税率に関しては「30%を切る水準になったが、課税ベース拡大とセットになっており、企業の実質的税負担の軽減にはつながっていない」と述べ、国際競争力を維持・強化するには実効税率のさらなる引き下げが必要との考えを示した。

 三菱マテリアルでも品質データの書き換えが明らかになったことについては「他業界の事案。直接的なコメントをすべきでない」と述べるにとどめた。神戸製鋼所の問題では、外部調査委員会の報告をみた上で、必要があれば鉄鋼連盟としての対応を検討するとの従来方針を改めて示した。

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