中国製アルミ板輸入量が急増、1~9月累計8割増 缶材、流入拡大の可能性も

 中国製アルミ板の輸入量が年初から増加を続けている。2017年1~9月の累計は前年同期比を8割上回った。従来の建材や産業機器向け材料が堅調なほか、今年に入って観測された飲料用缶材の流入も数量の増加に寄与したもよう。国内需給にタイト感がみられる中、一定レベルの品質水準を超えた中国材が今後も輸入量を押し上げる可能性がある。

 日本アルミニウム協会がまとめたアルミ圧延品輸入通関統計によると、1~9月の中国製アルミ板輸入量は前年同期比81・3%増の1万7840トンで過去最高ペースを歩んでいる。中でも著しい数量増を見せるのが、1000系以外のアルミ合金材料が含まれる「合金板(その他)」。従来、中国材の主流といえば「アルミ板」(1000系)で、主な用途としては建材や産業機械向けとされていた。しかしながら昨今は「アルミ板」の伸び以上に「合金板(その他)」が急増。17年4月には初めて「合金板(その他)」が「アルミ板」を上回った。それ以降、逆転は一度もない。さらに9月には「合金板(その他)」が、過去最高の1324トンに達し、「アルミ板」の2倍以上となった。

 「合金板(その他)」は、16年は平均して月間300~600トンレベルで日本に入ってきていたが、17年に入ってからは1千トンを超える月も散見され、9月には過去最高の1324トンに到達した。産業用途として幅広い需要分野で利用されている中国製アルミ合金板だが、今年の数量増は飲料用缶材の増加が指摘されている。

 国内のアルミ板需要の過半を占める飲料缶材は、国内ではUACJ、神戸製鋼所、三菱アルミニウムの3社が製造しているほか、近年では米系韓国メーカーの輸入材が国内で少量流通しているとされる。国内3社のアルミ板工場は、自動車材需要の拡大などを背景に今年は各拠点ともにフル操業状態にある。飲料缶材需要も、好調なボトル缶出荷の追い風を受けて微増傾向にあることから、「一部製缶メーカーが中国ローカルから缶材調達を実施した」(メーカー筋)とみられている。

 目先について、どのレベルまで数量が増えるかは不透明。だた、「神戸製鋼や三菱アルミニウムの品質不正問題などが嫌気されれば、品質や出荷対応力が上がってきた一部の中国メーカーを調達先ラインアップに加える可能性はある」(同)との指摘が上がる。中国の缶材市場は、20年までに供給量が需要を上回るとみられている。中国製飲料缶材の輸出圧力が強まれば、日本市場への流入が拡大する可能性もある。

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