日立金属、三徳を買収へ ネオジム磁石合金を内製化

 日立金属は28日、レアアース大手の三徳(資本金・15億円、本社・神戸市東灘区、社長・岡田力氏)を買収すると発表した。同日、三徳と子会社化に向けた基本契約を締結した。公正取引委員会の承認を前提に2018年4月2日に子会社化する。今後、三徳の株主と個別に交渉するため取得株式数は確定していないが、完全子会社化を目指す。日立金属はネオジム磁石の世界最大手。合金製造・リサイクル事業の内製化率を一気に高めて、ネオジム合金~ネオジム磁石~リサイクルの最適マテリアルフローを実現し、国際競争力を高める。

 三徳は世界で初めてレアアースの溶融塩電解や急冷合金の量産化に成功するなど、高い合金組織制御技術を持つ。レアアース原料から高純度化合物、各種合金まで一貫生産し、ネオジム磁石合金製造ではストリップキャスティング関連特許を保有し、レアアース総合メーカーとして世界をリードしている。日本3工場、中国2工場を持ち、17年3月期売上高は178億円。

 日立金属は佐賀工場で磁石合金製造・リサイクルを手掛けているが、三徳の買収により磁石合金をほぼ完全に内製化できるようになる。磁石合金の外販については、三徳の現在の顧客に対する供給を続ける。日立金属は三徳に4・5%出資しており、完全子会社化を想定した買収額は約40億円を見込んでいる。

 日立金属は25年度に磁性材料事業の売上高を16年度比倍増の2千億円に拡大する計画を進めている。磁石の生産能力増強、重希土類の使用量抑制、日本国内の磁石合金製造・リサイクル体制の確立によるマテリアルフローの最適化が拡大戦略の重要な柱になる。

 磁石合金製造・リサイクル体制の構築では新たな設備投資も検討したが、「時間軸を買う」(赤田良治磁性材料カンパニープレジデント)方針を固め、三徳と合意した。

 三徳は電池材料などの事業も持つ。日立金属は磁石合金・リサイクル以外の事業でも三徳との事業シナジーを追求していく。

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