ユーグレナ ORCに出資

 バイオベンチャーのユーグレナ(東京)は29日、県内離島空路を運航するオリエンタルエアブリッジ(ORC、大村市)に出資すると正式発表した。ORCが12月中に実施する約5千万円の第三者割当増資を引き受け、持ち分比率4・7%の株式を取得。ミドリムシを使ったバイオジェット燃料の実用化を進めており、2020年までにORC機での飛行開始を目指す。

 ユーグレナが航空会社に出資するのは初めて。長崎空港ビルディング、県に次ぐ第3位の株主となる予定で、役員派遣も検討する。

 ORCは、収益力強化に向け、10月に就航させた福岡-宮崎線などに関連する運営資金調達の一環として出資を受け入れる。一方、ユーグレナは出資を足掛かりに自社のミドリムシを使った健康食品や化粧品の販路開拓、離島振興も図りたい考えだ。

 バイオ燃料は環境負荷が少ないとして欧米ではすでに商用化。ユーグレナは15年、全日本空輸(ANA)などと協力して20年までの国内初の有償飛行を目指す計画を発表している。横浜市で建設中の燃料精製の実証プラントは18年10月に完成予定。25年をめどに商用プラントも造り、低廉化を目指す方針で、ORCを通じ燃料供給や航空事業の知見を得たい狙いだ。

 29日、県庁で記者会見があり、ユーグレナの出雲充社長はミドリムシの生産拠点がある沖縄県八重山地域の振興にも関わってきた実績に触れ、「将来的には長崎の離島で産業振興や雇用創出にも取り組みたい」と強調。ORCの日野昭社長は「環境に配慮した航空会社としてのブランドイメージ向上に期待する。ユーグレナによるプロモーション活動にも協力したい」と述べた。中村法道知事は「離島にとってはチャンス。県も連携を強化し離島路線の維持、発展、離島振興に全力を尽くす」と述べた。

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