LMEニッケル、1カ月ぶり安値 月初から11%安、5.1ドル台に

 LME(ロンドン金属取引所)ニッケル価格は現地28日、約1カ月ぶりとなるポンド当たり5・1ドル台まで下落した。今月初旬につけた直近高値(同5・82ドル)に比べ約11%安の水準。中国需要の先行き懸念やインドネシアからの供給増加観測などが売り材料となっている。過熱気味だった電気自動車の電池向け需要増加を見込んだ思惑買いもやや後退したもよう。

 一方でニッケル需給バランスは来年も供給不足が継続するとの見方が大勢であることから当面は底堅い展開となりそうだ。

 現地28日のLMEニッケル価格は、前場終値(セツルメント価格)で現物価格がポンド当たり5・17ドル(トン当たり1万1400ドル)、3カ月先物価格が同5・20ドル(同1万1470ドル)と2営業日連続の下落となった。ニッケル価格は中国のステンレス鋼需要が堅調に推移していることなどから7月以降は上昇基調で推移し、今月に入ってからは電気自動車の普及加速に伴うニッケル需給のひっ迫観測に伴う思惑買いで急激な上昇をみせていた。足元では再び中国需要の先行き懸念やインドネシアの供給が増加するとの見方などから一時的な調整が入ったもよう。

 一方で、来年もニッケルの需給バランスが供給不足見通しにあることが価格の下支えとなりそうだ。国際ニッケル研究会(INSG)が先月公表した世界のニッケル需給予測によると、18年の需給バランスは5万3千トンの供給不足と3年連続で不足バランスとなると予測している。

© 株式会社鉄鋼新聞社