ハンカチ王子・斎藤佑も来季30歳 見えた“新境地”、加齢は「逆にチャンス」

契約更改に臨んだ日本ハム・斎藤佑樹【写真:石川加奈子】

今季見えた新境地、ハム斎藤佑が目指す新たな投球スタイルとは

 日本ハムの斎藤佑樹投手が1日、札幌の球団事務所で契約更改交渉に臨み、170万円ダウンの年俸1830万円でサインした(金額は推定)。今季は6試に先発して1勝3敗、防御率6.75。「悔しいシーズンでした」と振り返るように斎藤自身、納得していない。だが、新境地を見出したシーズンでもあった。

 9月27日オリックス戦(京セラドーム)。先発して6回5安打2失点で勝敗はつかなったものの、斎藤の中で求め続けていた確かな手応えがあった。

「今年1年やってきたゴロを打たせてアウトを取るということが、何となく形としてできたのかなと思います。あの1試合があるかないかで来年に向かう気持ちも違いますし、このオフの取り組みも違うので。最後の1試合を来年の最初からできるように、もっともっと上を目指して頑張りたいです」

 斎藤がイメージする新しい投球スタイルとは、きれいな回転の直球はほとんど投げず、ツーシーム、カットボール、チェンジアップでゴロを打たせる投球だ。「ファイターズにはそういうピッチャー少ないので。それを確立できるようにしたいと思いますね」と話す。

島田球団代表「とにかくどんな形でも復活してくれれば」

 追求してきた形になりつつあることで、このオフの取り組みも明確だ。

「毎年オフの練習ではいわゆるフォーシームばかり投げてきたんです。でも、実際に試合で使うのは本当に少なくなるので。ツーシーム、カットボール、チェンジアップ。全体的に完成度を高くキャンプに入れるようにしたいです」と言う。

 ハンカチ王子の愛称で甲子園を湧かせた右腕も来年は30歳。だが、技巧派への変身を試みる斎藤にとって年齢は脅威ではないようだ。

「スポーツ選手なので、年を重ねるにつれて体が動かなくなるというのがありますけど、僕の投球スタイルがもうそういうスタイルじゃないので。逆にチャンスなのかなと思いますね。神経系が高まってきて、動きが安定してくるっていうんですか。だからこのオフのトレーニングを大事にしたいですね」とさわやかに笑った。

 球団の島田利正代表は「とにかくどんな形でも復活してくれれば」と期待する。30歳を迎える来季、円熟味溢れる投球術でもうひと花咲かせてほしい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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