球団ワースト96敗を喫したセ最下位ヤクルト 7人いた助っ人は働いたか?

ヤクルト・バレンティン【写真:荒川祐史】

主力に怪我人続出で借金51、5位中日とも15.5ゲームの大差

 どん底の1年だった。2015年に76勝を挙げてリーグを制覇したヤクルトだったが、その翌年の2016年には64勝で5位に転落。そして、今季はさらに数字を落とした。45勝96敗2分で借金51。シーズン96敗は球団ワースト記録を更新する不名誉な記録まで残してしまった。

 序盤から負傷者が続出したことが痛かった。川端や雄平、小川、秋吉と、チームの核となるべき選手たちが次々に離脱。屋台骨を欠き、次々に黒星を重ねていった。5月末から6月にかけて10連敗、7月にはこれを上回る14連敗を喫した。5位の中日との差でさえ、15.5ゲーム開いていた。

 チーム打率、チーム防御率ともにリーグワースト。95本塁打は12球団でロッテとともに最少であった。助っ人外国人においても、今季7選手が1軍でプレーしながらも、チームを浮上させるほどの目立った活躍をした選手はいなかった。投手陣で光明を感じさせたブキャナンは先発ローテを守り、小川の8勝に次ぐ6勝をマーク。25試合で16度のクオリティースタートを記録しており、低迷していたチーム状況を鑑みれば、奮闘したと言えるのではないか。

 ルーキも主にセットアッパーとして22ホールド7セーブをマークし、苦しいチームの中で数字を残した。ギルメットは開幕から中継ぎを務めたが、結果を残せずに2軍暮らしとなり、終盤は先発でマウンドに上がっていた。オーレンドルフは開幕から4試合に先発して1勝も出来ないままにファームへ降格し、そのまま1軍での登板機会は巡ってこなかった。

ブキャナンは先発ローテで奮闘、メジャー209試合登板のオーレンドルフはシーズン中に退団

 打者に目を移すと、来日7年目となったバレンティンは怪我での離脱がありながら32本塁打を放って面目を保ったものの、打率.254、80打点はやはり物足りない。リベロ、グリーンの助っ人砲は期待に応えられなかったと言わざるを得ないだろう。ここではセ・リーグ最下位に終わったヤクルトの今季の助っ人勢の成績と働きを振り返ってみよう。

○デービッド・ブキャナン
25試合(25先発)6勝13敗 16QS 防御率3.66
159回2/3 158安打56四球9死球19本塁打112奪三振 WHIP1.34

 フィリーズから今季ヤクルトに加入した右腕。低迷するチームの中で、1年間ほぼローテを守り抜き、25試合に先発。チームでただ1人規定投球回もクリアした。チームがシーズンで45勝に終わったこともあって6勝13敗と大きく黒星が先行したが、それはチーム成績を考えれば、致し方のない部分もあった。来季の残留が決定している。

○ロス・オーレンドルフ
4試合(4先発)0勝1敗 2QS 防御率5.50
18回 18安打11四球1死球1本塁打15奪三振 WHIP1.61

 ヤンキース、パドレス、レンジャーズ、レッズなどを渡り歩き、今季からヤクルトに加わった。MLB通算209試合登板の実績を誇ったが、開幕から4試合に先発して防御率5.50。1勝も出来ないままに出場選手登録を抹消され、右肩の違和感のために8月に帰国した。シーズン終了を待たずしてウエーバー公示され、自由契約となった。

○ジョシュ・ルーキ
61試合(0先発)4勝6敗22ホールド7セーブ 防御率2.97
60回2/3 54安打19四球2死球6本塁打70奪三振 WHIP1.20

 マリナーズ、レイズ、メキシカンリーグでのプレーを経て、昨季からヤクルトに加入。1年目は69試合に投げてリーグ3位の33ホールドを記録した。今季も61試合に投げて22ホールド7セーブをマーク。秋吉の離脱後にストッパーも務め、低迷するチームの中で奮闘した。一方、シーズン最終盤に全体練習を無断欠席したことも話題となった。

バレンティンは32本塁打と奮闘するも、グリーン、途中加入のリベロは結果を残せず

○プレストン・ギルメット
28試合(4先発)1勝1敗2ホールド0セーブ 2QS 防御率3.62
54回2/3 49安打15四球2死球4本塁打57奪三振 WHIP1.17

 インディアンスやオリオールズ、レイズ、ブルワーズなどを経て今季から加入。開幕から中継ぎに入るが、初登板で4失点を喫して登録を抹消。再昇格後も安定した成績を残せず、6月上旬に再び登録を抹消となった。ペナントレース終盤になって先発で1軍で登板したが、評価を覆すほどの好投を見せることはできなかった。

○カルロス・リベロ
54試合200打数43安打6本塁打21打点0盗塁 打率.215
7四球52三振 出塁率.240 得点圏打率.214 OPS.595

 レッドソックス、マリナーズ、ダイヤモンドバックスなどを経て、今季途中の7月に低迷していたヤクルトに加入した。7月下旬に1軍で初出場し、そこから54試合に出場したが、打率.215にとどまり、チームを苦境から抜け出させることは出来なかった。 

○ディーン・グリーン
25試合72打数14安打2本塁打8打点0盗塁 打率.194
7四球17三振 出塁率.284 得点圏打率.313 OPS.590

 タイガースから今季ヤクルトに入団。投手3人が1軍に登録された外国人枠の問題もあって、2軍暮らしが続き、自らの故障もあって初昇格は6月になってから。だが、昇格後も打率1割台と低迷し、1か月ほどで登録を抹消された。リベロとともに打線の活性化を期待された1人だったが、結果を残すことは出来なかった。

○ウラディミール・バレンティン
125試合445打数113安打32本塁打80打点0盗塁 打率.254
70四球112三振 出塁率.358 得点圏打率.252 OPS.864

 マリナーズ、レッズを経て2011年にヤクルトに加わり、今季で来日7年目。5年目の2015年こそ怪我で15試合、1本塁打に終わったが、その1年を除く6年では全て30本塁打以上をマークしている。今季も負傷離脱がありながらも125試合で32本塁打を放ち、低迷するチームの中で気を吐いた。チームが貧打に喘いだことも影響しているが、打点80、打率.254は物足りなかった。来季の残留も決定している。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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