投手、守備で好選手輩出も中軸打者が育たず…阪神の過去10年ドラフト査定

阪神の2012年ドラフト1位・藤浪晋太郎【写真:Getty Images】

阪神のここ10年のドラフトを振り返る

 投手やつなぐ打者、守備の名手は輩出しているが打線の中軸に座る選手が育っていない――。そんな印象を受けるのが阪神のドラフトだ。

 過去10年のドラフトの実績を振り返ってみたい。※は現時点でのNPBでの現役選手。

○2008年
1位・蕭一傑 投 奈良産大・0勝1敗0S0H 防御率2.16ソフトバンクへ
2位・柴田講平 外 国際武道大・294試119安2本22点16盗 打率.230ロッテへ
3位・上本博紀 内 早大・591試476安28本145点83盗 打率.268※
4位・西村憲 投 九産大・8勝4敗0S15H 防御率3.70
育1位・野原祐也 外 富山サンダーバーズ・22試5安0本0点0盗 打率.192
育2位・吉岡興志 投 常磐大(1軍出場なし)
育3位・藤井宏政 内 加古川北高(1軍出場なし)

 台湾出身のドラ1蕭はNPBでは活躍できず、台湾プロ野球に移籍した。上本は正二塁手として攻守で活躍。西村憲は1年だけ中継ぎで活躍したが、今は独立リーグ。毎年12球団合同トライアウトに挑戦している。

○2009年
1位・二神一人 投 法大・0勝3敗0S1H 防御率5.31
2位・藤原正典 投 立命大・1勝0敗0S4H 防御率3.12
3位・甲斐雄平 外 福岡大(1軍出場なし)
4位・秋山拓巳 投 西条高・18勝17敗0S0H 防御率3.92※
5位・藤川俊介 外 近大・747試268安7本65点27盗 打率.256※
6位・原口文仁 捕 帝京高・180試137安17本71点1盗 打率.272※
育1位・高田周平 投 信濃グランセローズ(1軍出場なし)
育2位・田上健一 外 創価大・123試19安0本3点11盗 打率.247

 ドラフト1~3位は実績がないままに引退したが、4位の左腕秋山が今季、エース格にのし上がる。藤川俊介は俊介の登録名でプレーしている。原口は金本監督の抜擢で、昨年ブレークした。

2010年ドラフト3位中谷は今季20本塁打を記録

○2010年
1位・榎田大樹 投 東京ガス・13勝17敗3S60H 防御率3.90※
2位・一二三慎太 投 東海大相模高(1軍出場なし)
3位・中谷将大 捕 福岡工大城東高・214試142安24本75点3盗 打率.242※
4位・岩本輝 投 南陽工高・4勝2敗0S0H 防御率2.64
5位・荒木郁也 内 明大・161試24安0本2点12盗 打率.195※
育1位・阪口哲也 内 市和歌山高(1軍出場なし)
育2位・島本浩也 投 福知山成美高・1勝0敗0S3H 防御率5.86※
育3位・穴田真規 内 箕面東高(1軍出場なし)

 1位の左腕榎田は、先発、救援で活躍するも最近は2軍暮らしが多い。2位の一二三は最近、残念なニュースがあった。中谷は今季20本塁打と遅咲きながらブレークした。

○2011年
1位・伊藤隼太 外 慶大・269試117安9本46点1盗 打率.238※
2位・歳内宏明 投 聖光学院高・2勝4敗0S4H 防御率4.15※
3位・西田直斗 内 大阪桐蔭高・1試0安0本0点 0盗 打率.000※
4位・伊藤和雄 投 東京国際大・0勝1敗0S0H 防御率4.76※
5位・松田遼馬 投 波佐見高・6勝6敗0S14H 防御率4.07※
育1位・廣神聖哉 捕 群馬ダイヤモンドペガサス(1軍出場なし)

 伊藤隼太は外野の控え選手。松田は中継ぎとして登板している。

○2012年
1位・藤浪晋太郎 投 大阪桐蔭高・45勝37敗0S0H 防御率3.05※
2位・北條史也 内 光星学院高・206試151安8本53点6盗 打率.250※
3位・田面巧二郎 投 JFE東日本・0勝1敗0S1H 防御率6.23l※17年オフに戦力外通告
4位・小豆畑眞也 捕 西濃運輸(1軍出場なし)※
5位・金田和之 投 大阪学院大・7勝1敗0S0H 防御率4.27オリックスへ※
6位・緒方凌介 外 東洋大・51試18安2本5点2盗 打率.220※

 高校時代、大谷翔平と投げ合った藤浪は、順調にエースの道を歩んでいたが、今季は不振。北条は鳥谷敬から遊撃のポジションを奪うかと期待されたが、やや失速した。

○2013年
1位・岩貞祐太 投 横浜商科大・17勝24敗0S0H 防御率3.82※
2位・横田慎太郎 外 鹿児島実高・38試20安0本4点4盗 打率.190※
3位・陽川尚将 内 東農大・41試15安3本5点0盗 打率.167※
4位・梅野隆太郎 捕 福岡大・297試152安13本76点2盗 打率.201※
5位・山本翔也 投 王子・1勝0敗0S0H 防御率5.16※
6位・岩崎優 投 国士館大・15勝20敗0S15H 防御率3.28※

 岩貞は先発で今季5勝、岩崎は今季左の中継ぎとして活躍した。陽川は代打で活躍。梅野は投手陣のリードが評価され正捕手に。横田は病気のため、育成枠で契約し直した。

○2014年
1位・横山雄哉 投 新日鉄住金鹿島・3勝2敗0S0H 防御率4.28※
2位・石崎剛 投 新日鉄住金鹿島・1勝1敗0S8H 防御率2.56※
3位・江越大賀 外 駒大・156試77安12本36点7盗 打率.207※
4位・守屋功輝 投 Honda鈴鹿・0勝1敗0S0H 防御率9.72※
5位・植田海 内 近江高・14試5安0本0点1盗 打率.278※

 横山は今季1試合に登板したのみ。石崎は短期間だが中継ぎで活躍。江越は掛布前2軍監督が期待をかけていたが、まだレギュラーにならず。植田は厳しい内野手のポジション争いに食い込むことができるか。

新人王を獲得した高山、大山も大器の片りん

○2015年
1位・高山俊 外 明大・237試218安14本89点11盗 打率.265※
2位・坂本誠志郎 捕 明大・70試37安3本19点0盗 打率.234※
3位・竹安大知 投 熊本ゴールデンラークス・1勝0敗0S0H 防御率0.00※
4位・望月惇志 投 横浜創学館高・0勝0敗0S0H 防御率0.00※
5位・青柳晃洋 投 帝京大・8勝9敗0S0H 防御率3.26※
6位・板山祐太郎 外 亜大・43試25安0本5点1盗 打率.229※

 高山は昨年、規定打席に達して新人王に輝いたが、今季は出場機会が減る。2位以下の選手も金本監督によって1軍で試されたが、まだレギュラーには定着していない。

○2016年
1位・大山悠輔 内 白鴎大・75試47安7本38点2盗 打率.237※
2位・小野泰己 投 富士大・2勝7敗0S0H 防御率4.35※
3位・才木浩人 投 須磨翔風高・0勝0敗0S1H 防御率0.00※
4位・浜地真澄 投 福岡大大濠高(1軍出場なし)※
5位・糸原健斗 内 JX-ENEOS・66試42安1本24点1盗 打率.259※
6位・福永春吾 投 徳島インディゴソックス・0勝0敗0S0H 防御率11.25※
7位・長坂拳弥 捕 東北福祉大学・1試0安0本0点 0盗 打率.000※
8位・藤谷洸介 投 パナソニック(1軍出場なし)※

 2016年の新人も4位の浜地、8位の藤谷を除いて、1軍出場に機会が与えられた。大山は7本塁打し、大器の片りんを見せた。小野も一時期好投。糸原は北條との遊撃手のポジション争いをした。金本監督の若手を抜擢する方針の恩恵を受けているが、その期待に応えることはできるだろうか。

○2017年
1位・馬場皐輔 投 仙台大
2位・高橋遥人 投 亜大
3位・熊谷敬宥 内 立大
4位・島田海吏 外 上武大
5位・谷川昌希 投 九州三菱自動車
6位・牧丈一郎 投 啓新高
育1位・石井将希 投 上武大

 毎年、選手は育っているが、長距離打者が少ない。過去10年のドラフトで入団した選手でシーズン2桁本塁打を打ったのは、2016年の原口(11本)と2017年の中谷将太(20本)だけ。阪神は、主軸打者を他球団からのFA選手や外国人選手で賄ってきた。

 往年のダイナマイト打線を知るファンからは寂しいところだ。そういう意味でも大山には期待がかかる。

(Full-Count編集部)

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