坂本九さん最後の曲、かなった家族共演 CD「心の瞳」発売へ

 川崎市出身の故坂本九さんが生前、最後にレコーディングした「心の瞳」が6日、CDシングル盤として発売される。三十三回忌に合わせた企画で、妻で女優の柏木由紀子さん(69)と長女の大島花子さん、次女の舞坂ゆき子さんがコーラスで参加。柏木さんは「家族4人の共演がかなった」と感慨深げだ。

 「ゆっこ。僕たちのことを歌ったような曲だよ。ゆっこが聴いたらきっと泣いちゃうよ」 柏木さんはレコーディングを終えた坂本さんからそう伝えられたことを、きのうのことのように思い出すという。「いつかパパの伴奏をしたい」と練習をしていた長女が葬儀でピアノの弾き語りをして、坂本さんを天国へと送り出したという逸話も残る。

 日航機墜落事故で亡くなる3カ月前の1985年5月にシングル「懐かしきlove−song」に初収録され、ファンに親しまれてきた。中学校の音楽の教科書に採用されてからは合唱曲としても知られ、柏木さんの元には「坂本九の人生、夫婦愛、家族愛を道徳の授業で扱っています」と記された手紙が教諭から届いたこともあったという。

 3人は2006年のクリスマスから始めたファミリーコンサートで歌い継いできたが、節目の年に家族の絆を形にしたいとリリースを決めた。合唱バージョン、カラオケを含む計3曲入りで1200円。

 7日に東京・銀座ヤマハホールで開かれるクリスマス公演で披露。同日には「上を向いて歩こう」など21曲入りのベストアルバム「ベスト〜心の瞳」(2千円)も発売される。ブックレットには、フランス・パリにあるエッフェル塔の前で仲むつまじい姿を見せる坂本さんと柏木さんの未公開写真が掲載される。

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