『DESTINY 鎌倉ものがたり』 新妻の命を取り戻すため黄泉の国へ

(C)2017「DESTINY鎌倉ものがたり」製作委員会

 山崎貴は、VFXを駆使した映画の日本における第一人者。『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『永遠の0』などを大ヒットさせている。その彼が、『ALWAYS~』の原作者・西岸良平の日本漫画家協会賞大賞に輝くもう一つの代表作『鎌倉ものがたり』を映画化した、ファンタジー要素あふれる感動作だ。

 舞台は、人と人ならざる者(魔物、幽霊、妖怪…)が仲良く暮らす街・鎌倉。そこに住む新婚のミステリー作家が、不思議な土地柄ゆえに亡くなってしまった年若い新妻の命を取り戻すために黄泉の国へと旅立つ…。

 夫婦&親子関係といった普遍的な“家族”のテーマ、“昭和”が薫る懐かしい世界観は、『ALWAYS~』と同じ。そこに今回は、山崎監督が『泣いた赤鬼』をベースに共同監督を務めたCGアニメ『friends もののけ島のナキ』の要素が掛け合わされ、山崎テイストはかつてない濃厚さ! “DESTINY”というおなじみの欧文タイトルも、やはりしっかりとテーマと寄り添い、物語の重要な伏線にもなっている。

 ただし、若干の心配も。気のせいかもしれないが、実写とCGのつなぎ目に、以前ほどこだわりや工夫が感じられないのだ。もちろん、前作『海賊とよばれた男』が失敗作だったことを考えれば些末な問題なのかもしれないが。山崎貴のピークは『永遠の0』ではなく、まだこれからだと思いたい。★★★★☆(外山真也)

監督・脚本・VFX:山崎貴

出演:堺雅人、高畑充希、堤真一、安藤サクラ、田中泯、中村玉緒

12月9日(土)から全国公開

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