【現場を歩く】〈〝世界初〟の鉄筋EXPO2017〉約130社・団体出展、自社製品や独自技術PR 技能大会や討論会など多彩なイベント開催

 11月24日から26日までの3日間、千葉市の幕張メッセ国際展示場9ホールで開催された鉄筋をテーマとする〝世界初〟(主催者調べ)の総合展示会「鉄筋EXPO(エキスポ)2017」(同実行委員会主催)。鉄筋工事業や電炉、流通・加工業、機械・工具メーカーなど約130社・団体が出展し、自社製品や独自技術を紹介した。展示のほかシンポジウム(公開討論会)、第2回全国鉄筋技能大会、アート展など多彩なイベントが繰り広げられた現場を歩いてみた。(新谷 晃成)

 初日の24日午前9時半には開会式を挙行。実行委員会メンバーや、共催の全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)、全国圧接業協同組合連合会(全圧連)、日本鉄筋継手協会、普通鋼電炉工業会(普電工)の代表者、後援の国土交通省幹部が勢ぞろいし、テープカットして開幕を祝った。実行委員長を務めた館岡正一・全鉄筋副会長(現理事)は「1日目から多くの関係者が列ができるほど集まってくれた。皆さんの関心の高さが実感できる」と顔をほころばせた。

 展示ブースでは、電炉メーカーが主力製品のねじ節鉄筋を並べたほか、トピー工業は来秋発売予定のコンパクトコイル「TACoil(ティーエーコイル)」を初公開。立ち寄った来訪者は高密度に巻き取られた異形鉄筋を間近に見ながら、鉄筋製品の最先端を感じ取っていた。

 継手関連では、溶接式で代表的な「CB工法」の実演も。2本の鉄筋の間にセラミック製の裏当て材を置き、炭酸ガス半自動溶接により狭い空間でも作業ができる点を実証していた。このほか新規参入したスノウチもアルミシール付きセラミック製裏当て材「バーピタ」の見本品を配布。PRに努めた。

 会場で大きな存在感を示したのが東陽建設工機製の大型鉄筋加工機。実演時間には大勢の観客が集まり、切断・曲げ加工した鉄筋をロボットアームで軽々と所定の位置に移せる様子を見て感嘆の声を上げていた。

 住宅基礎に用いられるユニット鉄筋関連の団体も参加。三栄商事や佐藤製線所が加盟する「日本ミレニアムベース協会」や、サトウ、メークスなどでつくる「日本住宅基礎鉄筋工業会」が実物モデルを会場に持ち込み、担当者が工場製作による工期短縮効果など利点を来場者にアピールしていた。

 デモ実演は会場屋外でも実施。圧接工法による溶接作業や、重機を用いた太物鉄筋の運搬など、普段は見られない迫力ある実演を目の当たりにした。

 2日目のメーンイベントは第2回鉄筋技能大会「TETSU―1(テツワン)グランプリ」(本紙協賛)。全国から37人が駆け付け、最強鉄筋工の称号を目指して匠の技を競い合った。

 開会式では全鉄筋の館岡実行委員長が挨拶し、沖縄代表の玉城正則選手(大宥鉄筋工業)が選手宣誓を務めた。選手たちは午前と午後に分かれ、曲げ加工した鉄筋を図面や仕様に従って課題作品に仕上げていた。中には女性や外国人選手も参加し、日ごろ鍛えた腕を披露した。

 来場者は大人だけにとどまらず、選手の応援に駆け付けた子どもや、大学生や専門学校生も多く目にした。親子連れの家族が、鉄筋で組み上げた恐竜やゴリラなどの動物模型を眺めたり、記念写真を撮ったりして楽しみながら鉄筋に親しんだ。美術系大学、専門学校の学生と鉄筋加工会社が協力して制作した鉄筋アート作品を紹介する「鉄筋ART(アート)展」も開催され、若者たちは建設用鋼材とは違ったかたちでの活用法に目を見張っていた。

 3日間で来場したのは延べ1万1708人。「鉄筋業界の未来創造のため、日本の技術を発信する」という主催者の狙いが、職種や世代の枠を超えて広く伝わるイベントとなったと感じた。

© 株式会社鉄鋼新聞社