【きらりと光るわが社の〝得意技〟】〈アクテック・芦田社長〉電子機能を持ったアルミケース、オーダーメードで高機能付加

 アクテック(本社・大阪府枚方市、社長・芦田庄司氏)は1972年設立の各種アルミケース、ソフトケースなどのメーカー。アルミケース製造では国内トップ。金属・木工・化成品加工や縫製など同業他社にない自社一貫生産が特長。アルミケースでは独自製品GRなど6種を展開、月間約8千台を生産している。ISO認証(品質・環境)は取得済み。従業員が58人。

 起業は芦田社長が24歳の時。CanonやNikonなど『一眼5社』が、その技術力で世界を席巻していた時代。趣味のカメラ業界ならば景気に左右されないと思い、アルミケースの製造を始めた。

 「当時、アルミの容器といえば飛行機のコンテナを見かける程度。アルミケースは出回っていなかった。ケースといえば、芯材がべニアのパイロットケースか床革の写真機材ケースが主流だった。アルミは軽量で丈夫、しかも美しい。将来、アルミケースは大きく伸びると確信していた」(芦田社長)。

 一押しの製品は、「電子機能を持ったアルミケース」だ。システム会社が開発し、アクテックには2007年に製作依頼があった。需要家へはこれまでにのべ約3500台を納入している。

 「『電子機能を持ったアルミケース』は、オーダーメードでさまざまな機器を組み合わせ高度な機能を提供できることが最大の特長だ。既に位置探査機能や開閉履歴を組み込み、需要書類や貴金属類の運搬用アルミケースとして活躍している。塗料メーカーからは温度センサーの搭載を頼まれている」(同)。

 アクテックの業績は堅調だ。17年暦年の売上高は前期比10%増の6億円強を予想。売り上げの7割はアルミケースが占める。

 「銀塩カメラが激減した92~93年の2年間は、売上高が半減し大幅赤字に陥った。最大のピンチだったが、全社一丸でリストラすることなく乗り切った。この時に経営面では京セラアメーバ-経営を、現場にはソニーの生産革新を取り入れた」(同)。

 社会貢献活動では90年から障がい者の就労支援を行っており、6名が勤務している。

 「2020年には小中学校で教科書がタブレット端末に変わる。当然、保管容器が必要となりアルミケースは有望。既に私学で使用事例がある。回路設計の技術者も自社で抱えている。血液運搬用(冷蔵)などでも有望。今後もオーダーメード品を軸にしつつ、お客様の『アクテック製品は素晴らしい』という声を励みに、業容の発展に務めたい」(同)。(白木 毅俊)

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