選手として、指導者として…変わらぬ存在感、パ・リーグ『松坂世代』の現在

ソフトバンク・松坂大輔【写真:荒川祐史】

世代トップを走ってきた松坂はソフトバンク退団も…

 球界を席巻した「松坂世代」も現在37歳。プロ入りした大半の選手は現役を退き、第一線で活躍する者、現役続行を希望する者、指導者として着々とキャリアを積む者などその生き様は様々だ。

 高校時代から世代のトップを走り続けてきた松坂大輔投手は11月5日、福岡ソフトバンクからの退団が発表された。西武時代は獅子奮迅の活躍を見せ、レッドソックスでは世界一に貢献。そして、日本代表ではWBCで2大会連続大会MVPと実績十分の右腕は2015年シーズンに福岡ソフトバンクへ入団。9年ぶりに日本球界に復帰した。

 しかし、右肩のケガの影響もあり在籍した3年間の1軍登板は昨年の1試合のみ。その唯一登板した10月2日の楽天戦では、1イニングを投げ5失点と悔しい結果に終わった。昨年オフにはウインターリーグに参加し再起を期すも、今季1軍での登板はなしとなった。現在のところ獲得に名乗りを挙げる球団はなく、今後の動向が大いに注目される。

 その松坂のチームメートだった和田毅投手は昨年、15勝を挙げ最多勝を獲得。今年は開幕投手に選ばれ、千葉ロッテ打線を8回1失点に抑える幸先の良いスタートを切った。しかし、5月に左ひじのクリーニング手術で戦線離脱。リハビリを経て8月27日の千葉ロッテ戦で復帰し、6回無失点で4月7日以来の白星を挙げる。9月は先発ローテーションで投げ、8試合の登板で4勝0敗と貴重な先発左腕として役割を果たした。

 松坂と中学時代、江戸川南リトルシニアでチームメートだったのが、オリックスの小谷野栄一内野手だ。今年は2015年のオリックス移籍以降では最多の130試合に出場し、4年ぶりに規定打席に到達。主に5番を任され打率.277、6本塁打、47打点と中島宏之内野手とともにオリックス打線をけん引した。特に埼玉西武戦では打率.339。敵地のメットライフドームでも打率.343と好相性。4月27日、ホームでの埼玉西武戦でもサヨナラの内野安打を放っている。

楽天では選手だけでなく、コーチも「松坂世代」として存在感

 埼玉西武では貴重な内野のユーティリティープレーヤーとして、いぶし銀の働きを見せていたのは渡辺直人内野手。公式戦終了翌日の10月6日に戦力外通告を受けるが、古巣・楽天が獲得に名乗りを挙げ、11月21日には球団が契約合意を発表。30日に行われた会見では背番号26のユニホーム姿を披露した。

 2010年以来の楽天復帰となる渡辺は、入団1年目からレギュラーを獲得。堅実なプレーと誠実な人柄で楽天ファンを魅了した。ところが2010年のシーズン終了の12月、契約更改を終えたにも関わらず横浜への金銭トレードが突然発表される。会見では楽天ファンについて聞かれ、思わず涙を流す一幕もあった。あの涙の会見から約7年、頼れるベテランとなって古巣に帰ってきた。

 最後に紹介するのは、指導者として着々とキャリアを積んでいる楽天の平石洋介コーチだ。PL学園-同志社大-トヨタ自動車とアマチュア野球界のエリートコースを歩み、楽天1期生として入団。2011年の現役引退後は2軍コーチ、1軍打撃コーチ補佐などを経て2016年からは2軍監督に抜擢される。

 イースタンリーグで2年連続2位と結果を残し、来年からは1軍ヘッドコーチ兼打撃コーチとして梨田昌孝監督を支える立場となる。球団側の平石コーチに対する期待度を見ると、将来的には楽天初の生え抜き監督、そして「松坂世代」で最初に監督となる可能性も高い。

(Full-Count編集部)

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