【非鉄流通のいま】〈アルコニックス三伸〉銅管の加工品提案を強化 M&Aで新規事業開拓も

 アルコニックスグループで銅管販売を手掛けるアルコニックス三伸(社長・平馬博文氏)は、70年以上の歴史と銅管の高い専門性を持つ非鉄金属流通だ。

 戦後間もない1946年、湯浅商店から独立した吉江角雄氏が小伝馬町に立ち上げたのが三伸商店である。早くから神戸製鋼の一次問屋として銅管の商いで頭角を現し、〝パイプは三伸〟として業容を拡大した。2000年、同じく神鋼系問屋で軽圧品を扱う林慶(旧林慶之助商店)の非鉄流通事業を吸収し、三伸林慶に名称を変更。04年にはアルコニックスの完全子会社となり同社の一部門である〝三伸林慶部〟に編入されたが、08年にアルコニックス三伸として分社独立された。分社後も事業拡大のため08年に互幸資材、16年にトビシマ資材に対するM&Aを行い、工事業者向け管材販売をラインアップに拡充。13年には日立電線商事のブスバー販売権を取得した。

 本社は東京・永田町に構えるが川口、札幌、仙台、名古屋の4カ所に自社倉庫を持つ。在庫量は常時300トン程度あり、販売比率は銅管7割、軽圧品(フィン材、厚板)1割、その他(ブスバー、加工品)2割。空調機器メーカーや冷凍冷蔵庫メーカー向けのヒモ付き銅管販売に加えて在庫機能を活用した銅管、軽圧品販売のほか各種住宅関連資材の工事業者向け販売を手掛けている。

 同社の特徴は主力の銅管販売に加えて、支店・営業所が地域性を発揮している点にある。札幌支店は、漁船に利用されるアルミ厚板販売部門が収益をけん引しているほか、互幸資材部門がガス配管用資材・暖房用資材販売を展開。BtoC分野へも取り組みを強めている。名古屋営業所では、2年前の拡張移転を機にアルコニックスグループ内に対して、倉庫機能を提供するなど収益源の多様化を推進している。

 今後は主力の銅管販売について「素材販売だけでなく、より製品に近い付加価値を高めた加工品の取り扱いを強化する」(平馬社長)として専門性をさらに高める方針を掲げる。一方で、「既存事業との親和性が高い分野でのM&Aを通じ、新規商材や新規商圏の拡大を図る」(同)ことも並行して進めるほか、これからはアルコニックスグループ企業とのシナジーも追及していく考えだ。(遊佐 鉄平)

会社概要

 ▽資本金=2千万円

 ▽年商=約47億円(17年3月期)

 ▽住所=東京都千代田区永田町2―11―1

 ▽社長=平馬博文氏

 ▽電話=03―3596―7470

 ▽取扱品種=銅管(給排水管用、熱交換器用、冷媒用)、灯油銅管、灯油・ガス配管用資材、アルミ条・アルミ製品、樹脂管、フロンガス

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