「チャイナリスク」関連倒産(11月)

 11月の「チャイナリスク」関連倒産は1件(前年同月比92.3%減)で、2017年では1月と並び最少を記録した。2016年12月から12カ月連続の一桁台で、チャイナリスク関連倒産は沈静化が顕著になった。負債総額は3億2,400万円(同95.3%減)で今年最少だった。
 2017年1~11月累計は、件数が51件(前年同期比50.4%減)、負債総額は363億7,600万円(同47.8%減)で、ともにほぼ半減と大幅に減少している。
 なお、倒産に集計されない事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、11月は1件だった(前年同月は2件)。

  • 「チャイナリスク」関連の集計基準
    「チャイナリスク」関連の経営破綻は、破綻の原因が次の8項目のどれかに該当するものを集計している。
    1. コスト高(人件費、製造コストの上昇、為替変動など)
    2. 品質問題(不良品、歩留まりが悪い、模倣品、中国生産に対する不信など)
    3. 労使問題(ストライキ、工場閉鎖、設備毀損・破棄など)
    4. 売掛金回収難(サイト延長含む)
    5. 中国景気減速(株価低迷、中国国内の消費鈍化、インバウンドの落ち込みなど)
    6. 反日問題(不買、取引の縮小、暴動など)
    7. 価格競争(中国の在庫調整に伴う相場下落、安価製品との競合など)
    8. その他

チャイナリスク関連倒産月次推移

 2017年1-11月のチャイナリスク関連倒産51件を産業別でみると、最多は卸売業の34件で全体の66.6%を占めた。ただ、チャイナリスク関連倒産の沈静化に伴い、卸売業は前年同期比41.3%減と大幅に減少した。
 11月唯一のチャイナリスク関連倒産となった(株)トレビ(TSR企業コード:292524803、東京都)は使い捨てライターやボールペンなどを中国など海外から輸入し、国内のパチンコ店、飲食店などに卸していたが、近年の調達コスト上昇に耐え切れず、11月9日に東京地裁から破産開始決定を受けた。
 扱う商材の差別化が難しい場合、調達コストが上昇しても販売価格に転嫁できず、収益圧迫の要因になりやすい。チャイナリスク関連倒産は落ち着いているが、中国に単純な「コスト安」だけを求めた進出や、主力調達を依存する企業は、まだ模索が続くだろう。

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