【新社長】〈アグリメコ&JFEスチールプロダクツ・上原郁氏〉ベトナムの建材ニーズに対応 鉄骨加工を意欲的に受注

 JFEスチールのベトナム・ハノイにおける建材加工商品販売合弁、アグリメコ&JFEスチールプロダクツ(A&J)の社長に今年4月就任。「ベトナムを理解して現地の人々とコミュニケーションをとりながら、本当にベトナムのためになる仕事をしたい。この地に足跡のようなものを残せたら」と抱負を語る。

 A&Jは建材事業では初となる現地企業との合弁。手を組んだ同国有数の建設・加工会社、アグリメコが加工を担う。「アグリメコは、東南アジアの中では溶接品質が高く最新鋭の機械を備えている。加えて、創造性に富みチャレンジ精神旺盛な社長の人柄にも魅かれた」と。

アグリメコ&JFEスチールプロダクツ・上原社長

 会社の理想の姿は「建材なら何でも要望に応えられる会社。JFEグループの商品を全て引っ張ってこられる、ノーと言わない会社にしたい」と意気込む。アグリメコは「鉄骨加工能力が高い。まずは鉄骨の仕事をどんどん受注し、体力がつけば色々チャレンジしたい」。

 A&Jの社員は7人。ローカルスタッフは「海外経験のある優秀な人材が多い。こちらの意図も伝わりやすい」と評価。一方、アグリメコの工場は「改善すべきところも多いが、ポテンシャルは非常に高い。地道に少しずつ改善を重ねればよい工場になる」と伸び代は大きい。

 座右の銘は孔子の「一以貫之」。〝一つの信念をずっと貫いていく〟といった意味合いだが「出身の栃木県立栃木高校で行われた年1回の耐久マラソンで配られる手ぬぐいに書かれていた。頑固ではなく思いやりの心を持ってあたれば遠い目標でもクリアできる。A&Jでもみんなの考えを汲み取りつつ話し合いでよい結果を出していきたい」と。

 「趣味は多い」と自負するがその一つが暗記。中島敦の山月記や般若心経を暗記する中で「仏教・仏像に興味を覚えた。来年は敦煌に行きたい」と笑顔。(村上 倫)

 略歴

 上原 郁氏(うえはら・かおる)89年東京大学工学部土木工学科卒、川崎製鉄(現・JFEスチール)入社、千葉製鉄所Cプロ建設ほかエネルギー関連のプロジェクトに多く携わり、2011年JFEスチール東日本製鉄所(千葉地区)土木・建築室室長、16年JFEスチール建材開発部土木技術室室長、17年4月アグリメコ&JFEスチールプロダクツ社長就任。62年8月1日生まれ、55歳。

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