世界的な歌劇とバレエの殿堂、パリ・オペラ座が題材のドキュメンタリーには、過去にも傑作があった。今作は歌劇を軸とし、スターではなくリスナー総裁以下、劇場を支える1500人超のスタッフを丁寧に追い、組織としてのオペラ座を浮き彫りにした切り口が新鮮。今年のモスクワ国際映画祭ドキュメンタリー映画賞受賞作。
バレエ団芸術監督の突然の交代劇や、パリ市内の同時多発テロなど、激動期の今を乗り切るため、オペラ座が苦悩しつつ、伝統を未来につなげようとする舞台裏も生々しい。9日から東京・Bunkamura ル・シネマなどで全国順次公開。