岩隈久志マイナー契約もマ軍GMの信頼は絶大「クマとの婚姻関係を永遠なものに」

マリナーズ・岩隈久志【写真:Getty Images】

マリナーズGMは岩隈の復活確信「まだ終わっていない。活躍できる」

 今季負傷の影響で6試合の登板にとどまり、オフにマリナーズとマイナー契約を結んだ岩隈久志投手。渡米後初めて未勝利に終わった右腕は来春のメジャーキャンプに招待選手として参加する予定となっている。2012年の渡米後、先発ローテの柱として活躍した36歳のベテラン右腕についてジェリー・ディポトGMが「クマとの婚姻関係を永遠なものにしたい」と語り、来季以降の貢献に大きな期待を寄せている。

 渡米後の5シーズンで63勝を積み上げた右腕は6年目の今季初めて白星なしに終わり、失意のシーズンを過ごした。オフにはマイナー再契約。その後、地元メディアにはメジャー昇格となった場合に250万ドル(約2億8000万円)、さらに先発登板での出来高が最大600万ドル(約6億8000万円)となる契約となったことも報じられた。

 だが、そんな右腕に対する球団側の期待は依然として大きいようだ。ディポトGMはこのほど球団公式のポッドキャスト「ザ・ウィールハウス」に登場。リハビリ中の岩隈について絶大な信頼を口にした。

「クマに関して全てがうまくいけば、私の考えでは、彼はスプリングトレーニングでチームに合流し、ゴールは投球プログラムを行うこと。5月中旬、下旬あたりに(試合で)見られるのではないか。現時点では全ての部分が上向きだ。リハビリは予定通りで順調に進んでいる。メディカルチームからポジティブな反応も得ている。我々も勇気付けられているよ。クマもハードワークをしている。いつものように。彼は最高な人間だ。我々はシアトルマリナーズとクマの婚姻関係を永遠なものにしたいんだ」

一流の投球術に心酔「この組織に必要」、周囲の手本としても期待「偉大なスキル」

 そう力を込めたディポトGMは「まだプレイヤーとしての日々は終わっていないと思う。まだ活躍できると思う。彼には常に我々のファミリーでいてほしいし、決定事項のプロセスや投手陣の戦略にも携わってほしい。彼は投球の組み立てに関する特別な資質を備えている。多くの選手はそれを持っていない。他の投手にもクマから発見してもらうこともある。時に言葉の壁があっても、この組織に彼は必要なんだ」と今後の復活、さらには周囲に対して手本となる存在としても期待した。

 ポッドキャストのホスト役を務めるキャスターが「クマの球種1つ1つは圧倒的なものではないが、それを組み合わせると(打者にとっては)致命的なものになる」と語ると、ディポト氏も同調。「投手の鍵はいかに打者を幻惑するかだ。98マイルの速球を真ん中低めに投げ続けていたら、最初は三振を獲れるかもしれないが、ファウルや惜しい当たりのアウトが続いた後、ホームランを何度も被弾してしまう。それが野球というもの。同じことを続けていたら相手は修正してしまう。クマは球種を覆い隠す素晴らしい手法を持っている。打者に対して前に投げた同じボールのように偽装してしまうんだ。それは偉大なスキルだ」と一流の投球術を称賛した。

 さらに「高めのファストボールに続くカーブはすごく効果的だ。同じ投球フォームなのに、片方のボールは変化する。そしてクマはそれを投げ分ける。内角低め、外角低め、外角高め、内角高め、その間のコースにも投げることができる。それをすべてのボールで実現することができる。腕の角度も変化させる。球速、コントロール、高さを変化させることは彼にとってすごく容易なことなんだ。すべてのレパートリーにおいてプレートの近くで突然ボールが消え、打者は彼のボールを見失うことになる。それが彼にとって重要な特異性だ。幻惑する能力というのがクマにとっては重要なことなんだよ」と力説した。

 今季はチームに貢献できなかった右腕だが、その投球に対する評価は依然として色あせていない様子。まずは来季、早い段階でメジャーのマウンドに上がることができるか。抜群の制球力、投球術でメジャーの打者たちを翻弄してきた右腕の完全復活に期待したい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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