【MLB】“いい人”大谷、球団選択の苦悩を明かす「結局1つの球団にしか行けない…」

エンゼルスへの入団会見を行った大谷翔平【写真:編集部】

会見で尽きることのない「感謝の言葉」

 日本ハムからポスティングシステム(入札制度)を利用してメジャーに挑戦する大谷翔平投手が9日(日本時間10日)、エンゼルスの本拠地エンゼル・スタジアムで入団会見を行った。会見の後、集まった約250人の報道陣の囲み取材に応じた“二刀流”右腕の口からは、獲得に動いた球団、決断をサポートした代理人への感謝の気持ちが次々と飛び出した。

 大谷は正式にポスティングされる前に、特例措置として各球団に“質問状”を送り、獲得に興味を持つ球団は日本語と英語で作った資料を送付。“書類選考”を通過した7球団が面談に進み、大谷と直接会って自らのチームについてプレゼンした。

 ポスティングされた1日(同2日)から決断まで8日間。「僕も初めてなので、どうなるのかなっていうのが率直な気持ちだった」というプロセスを通じ、大谷を支えたのがネズ・バレロ氏を筆頭とする代理人事務所CAAのスタッフだった。

「本当にCAAの方々が、僕がやりやすいように、決めやすいように、何回も何回もミーティングをしてくれた。決まった期限の中でやるのも本当に大変だったと思うんですけど、寝ないで頑張ってくれたりとか、僕がいい道を行けるように手伝ってくれたなと思います」

エップラーGM、バレロ代理人も「彼は非常に謙虚」

 決断までの時間は「ワクワクもしましたし、すごく楽しみな気持ちもありました。これ以上ないっていうくらい濃い1日1日が続いた」と笑顔を見せたが、次の瞬間、少し困ったような表情を浮かべながら、苦しかった心の内を明かした。

「やっぱり『エンゼルスにお願いします』っていうことは、他に断らなければいけない球団があるということで、すべての人にとっていい人になれないという申し訳なさを感じましたし、これだけ一生懸命資料を作ってくれて、プレゼンもしてくれて、いろんな球団の方が話をしてくれている中で、結局1つの球団にしかいけないということに関しては、やっぱり最後すごく悩みました」

 まだメジャーでは実績を残していない自分の可能性に賭け、懸命に獲得に動いてくれた全ての球団に対しての感謝の気持ち、そして全ての球団の期待に応えられなかった苦しい気持ちが、最終決断を下した今も23歳の心の内には混在しているようだ。

 エンゼルスのビリー・エップラーGM、代理人のネズ・バレロ氏ら、大谷と接した球界関係者は異口同音に「彼は非常に謙虚だ」と言う。自分が今ある姿になるまでに、周りの人々がどれだけサポートしてくれたか。その感謝の気持ちを持ち続けることが、メジャーでの飛躍のカギを握ることになりそうだ。

(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2