キノテック、純度99.995%以上の亜鉛の電炉ダストから製造 LME上場商品に相当、亜鉛精鉱以外で初の高品位

 技術開発ベンチャー、キノテック(本社・東京都中央区、社長・母里修司氏)はこのほど、亜鉛含有30%の電気炉ダストから99・995%以上と高い純度をもった亜鉛インゴットの製造実験に成功した。これまで純度99・99%を達成していたが、今回は精製の改善などでさらに純度を0・005ポイント高めた。亜鉛純度99・995%以上はロンドン金属取引所(LME)に上場されているSHG(スーパー・ハイグレード)基準の亜鉛地金に相当する。国際市場での販売が可能な高品位であり、通常の亜鉛精鉱ではない原料から99・995%以上の高純度な亜鉛地金を製造したのは同社が初めて。

 キノテック(11月6日付でキノテック・ソーラーエナジーから商号変更)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を得て、東京大学大学院の松浦宏行准教授と共同で製造方法(キノテック法)を開発した。亜鉛を含有する電炉ダストなどから選択塩化法によって純度99%以上の粗塩化亜鉛を回収し、湿式法による精製工程を経て溶融塩電解するもの。選択塩化後の残渣は加炭材や鉄粉として再利用でき、ダストの完全リサイクルが見込める。溶融塩化亜鉛を直接電解するため電解装置がコンパクトで、従来の水溶液電解法に比べ電力消費を約20%低減できることも特長。

 同社は東大内に実験設備を有しており、今年6月にはバッチ式の流動床を備えた小型の選択塩化炉を導入。精製装置は乾式を使用している。

 今回、99・995%以上の高純度を確認した亜鉛インゴットは11月26日に同設備で製造。東大内で行った成分分析の結果が12月初旬に出たもの。

 今後はバッチ式ではなく、連続式の流動床を備えた塩化炉を今月末ごろに導入し、来年2月までに生産性の検証を進める。さらに2018~20年をめどにパイロットプラントより規模の小さい、大型のベンチ試験を実施する計画。

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