長崎県内の就学援助率、過去最高 周知の取り組み奏功

 小中学生のいる経済的に苦しい家庭に対し、自治体が補助する「就学援助制度」の援助率の長崎県平均が2016年度は17・49%に上り、文部科学省が1995年度に統計を始めて以降最高となったことが9日、長崎新聞社の調べで分かった。これまでは14年度の17・46%が最高だった。

 制度は、小中学生の学用品費や給食費、修学旅行費などを補助する。生活保護を受ける要保護世帯と、所得水準が一定以下で市町村が認定する準要保護世帯が対象となる。

文科省は14年度分まで公表しており、全国平均は15・39%。長崎新聞社は未公表の16年度と15年度について県内の21市町教委に質問した。16年度で高かったのは▽五島市25・94%▽長崎市24・26%▽松浦市16・49%▽諫早市16・39%▽大村市16・23%-と続いた。

 逆に低かったのは▽小値賀町2・31%▽波佐見町5・99▽平戸市6・78%▽新上五島町7・7%▽東彼杵町10・39%-の順だった。15年度は全体で17・23%だった。 制度は、自治体ごとに周知方法や申請書の配布、回収への取り組みが異なり、援助率に影響を与えるとされている。周知する案内文書については西海市が「配布するかどうかは各校の判断に任せている」としたが、残る20市町は「年度ごとに全世帯に配っている」と回答した。

 長崎市や佐世保市は、書類が保護者まで行き届かないケースを避けるため、希望の有無を書き込む欄を設けた申請書も配り、全世帯から回収する方式を導入している。15、16年度ともに県内で3番目に援助率が低かった平戸市も、本年度の申請分から回収方式に取り組み始めた。その結果、前年度を4・42ポイント上回る11・2%(7月末現在の見込み)にまで上昇したという。

 就学援助に詳しい全国学校事務職員制度研究会(東京)の植松直人事務局長は、周知文書が配布されていることなどを挙げ「必要な子どもたちをよく把握しようとしている」と評価。一方、「学校や教育委員会の手間はかかるが、全世帯から申請書を回収する方式が最良のやり方だ」と話している。

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