海きららのイルカ 人工授精で妊娠 来年9月ごろ出産予定 佐世保

 九十九島水族館(佐世保市鹿子前町、海きらら)は11日、飼育しているハンドウイルカの雌が、難易度が高いとされる人工授精で妊娠したと発表した。順調なら来年9月ごろ出産予定。国内で人工授精から出産に成功した例は鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)での2例のみ。海きららは「元気な赤ちゃんを産んでもらうため、体調管理を万全にする」と気を引き締めている。

 妊娠したイルカ「ニーハ」は9月16日、神戸市立須磨海浜水族園から提供された精子で人工授精。このほどエコー写真で体長6~7センチの胎児が確認された。現在妊娠2カ月半。120センチ程度で生まれてくるという。

 ニーハは適度な運動のため今後もショー出演を続けるが、体をねじる「スピンジャンプ」など負担の大きな芸は控える。イルカは出産後にうまく授乳できないなどのケースも多いという。海きららは「イルカが出産や子育てをしている映像を見せ、母親としての自覚を高めたい」としている。

 もう1頭の「ナミ」も9、10、11月と3回人工授精をしており、今後も挑戦を続ける方針。海きららによると、イルカ用プールは4頭まで飼育可能という。

 海きららでは飼育していた3頭のうち1頭が2015年に死亡。イルカ漁を巡る国際的な批判を背景に本年度、繁殖事業に初めて取り組んだ。5~6月の自然繁殖は失敗し、9月から人工授精を試みていた。

エコー画像で確認できたニーハの胎児(海きらら提供)
人工授精で妊娠したニーハ(海きらら提供)

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