【記者座談会 鉄鋼この1年】〈(2)総論(下)〉中国で能力削減進展

日本の輸出、8年ぶり4000万トン割れ

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B 中国の能力削減の話題が出たが、国内では3月に新日鉄住金が日新製鋼を子会社化したことが大きなトピックスだった。高炉メーカーは3グループになった。すでに鉄源融通や高炉技術の移転が行われているが、本格的なシナジー追求はこれからだ。

A 2020年の東京五輪関連の建材需要は出る出ると言われてきたが、ようやく今年の夏ごろから出てきた。急激に増えた「山」というより、「丘」の感じだ。人手不足ネックなどで能力に限界がある。

E 流通では、日鉄住金物産と三井物産の件が一番の話題だった。

C 来年4月には、住友商事が子会社の住友商事グローバルメタルズに約1兆円の取引を移管する。総合商社から鉄鋼専門商社の時代へ、という流れが一段と加速する。

F 一時期は3兆円の売上げを誇るメタルワンが飛び抜けていたが、国内建材・スクラップ事業をエムエム建材に切り出したこともあって今の売上げは約2兆円。日鉄住金物産も含めて、売上げ2兆円規模の鉄鋼商社が並立している構図だ。

D 今後は、日新製鋼系流通を含めた再編統合の動きも出てくる。来年もいろいろありそうだ。

G JFEスチールが出資するベトナムのFHS社が高炉に火入れしたのは今年の大きなトピックスだ。環境問題で予定よりも遅れたが、マーケットが良い時に火入れできた。

B 設備は順調に立ち上がっている。東アジアの需給はタイトだし、ベトナムも活況。つくるとすぐに売れていると聞いた。来春に2基目の高炉に火入れすれば、JFEのオフテイク販売も本格的に始まるだろう。

D 東南アジアの動きとしては、FHS社と中国の青山鋼鉄に注目だ。青山は普通鋼にも進出して、300万トンの製鉄所を2年間で立ち上げるという。

G 1750立方メートルの小型高炉で、中国製の規格品となっており、設計コストなどがかからないから低コストでできるという。1基で150万トン、2基で300万トン。汎用品マーケットであれば、それなりに戦えるのかも。

A 原料も話題の多い年だった。

E 原料炭の四半期価格は、今年の1~3月が285ドル。11年4~6月の330ドル以来の高値に。価格の動きが大きく、乱高下している印象だ。

C 原料炭の値決め方式が、4月からスポット連動になったのは大きな変化だ。鉄鉱石に続いて石炭も。

B 鉄スクラップは電炉メーカーが中国から輸入したのが話題になった。日本が鉄スクラップの輸出国になってから中国産を輸入したのは初めてだ。

F 中国の鉄スクラップ輸出量が増え始めたのは4月。地条鋼が撤廃される動きの中で、鉄スクラップが中国国内で余った。業界筋の推定では、地条鋼の廃止で1年当たり約6800万トンの鉄スクラップの行き場がなくなったと言われる。

A その代わりに正規の電炉生産が増えたりするんだろうけど、詳しくは各論で話そう。

D 神戸製鋼の品質データ改ざん問題は社会的に大きな問題となって波紋を広げた。日産自動車などの無資格者による検査などと合わせ、日本のモノづくり力を問うような論調もあった。

E 神戸製鋼に続いて、三菱マテリアル子会社の三菱電線や三菱伸銅も同様の不正があったことを公表した。金属業界のメーカーで相次いだことは残念だ。

G ユーザーの中には、神鋼材を敬遠して他社からの調達に切り替えることを探る動きもあるが、供給メーカーが限られている上に、他社のラインも稼働率が高くて受けられる状況じゃない。実際に転注などが起きるのは限定的ではないか。

E じわじわと影響が出てくるかどうか。特に神鋼材をメーンにしているユーザーの動きが気になる。不適切行為の対象外商品でも、神鋼材以外に切り替えたいという意向を持っているユーザーはいる。

A 「うちは打たれ強い。大震災など過去に会社が倒れるんじゃないかと思ったこともあったが、乗り越えてここまできた」という社員の声を聞く。神鋼は創立が1905年と110年以上の歴史を持つ。当時の大商社である鈴木商店が、創業1カ月で行き詰まった鋳鍛鋼専業メーカーの小林製鋼所を買収し、神戸製鋼所と改称した時から始まった。鈴木商店のDNAを引き継ぐコングロマリット経営を立て直してほしいと期待している。

D 鋼材市況は一言で言えば上昇した。国内市況は、品種によってばらつきはあるが、薄板などでは昨年の原料炭高騰前のボトム比でおおよそ2万円ぐらい上がっている。詳しくは各論で話そう。

B 海外市況も上がった。東アジアのホットコイル市況は年初に500ドル台半ばだったが、一時下がった後、600ドル台に乗せた。600ドル台になったのは5年ぶりだ。

E 輸出数量は伸びなかったね。

C 今年の日本の全鉄鋼輸出は3800万トン程度の見込みで4千万トンを切るのは8年ぶりだ。メーカーの生産トラブルなどで粗鋼生産が増えなかった中で、国内向け出荷を増やした結果と言える。

F 大分のトラブルがあった厚板は、特に減ったのでは?

B 韓国造船向け需要が激しく落ちているしエネルギー分野も低迷。200万トンを割って、記録的な低水準になりそうだ。

F 今年は人手不足や働き方改革など労働分野の話題も多かった。それは物流費上昇などコストの問題と関連する。

G EV(電気自動車)への流れが一気に固まった感がある。鋼材需要面からも目が離せない。続きは各論で。