ニューヨーク地下鉄駅爆破テロ~「テロの世紀」第2幕の開幕

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12/12(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

IS思想の世界拡散
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター手嶋龍一(元NHKワシントン支局長・作家・外交ジャーナリスト)

米 ニューヨーク 爆弾 テロ

2017年12月11日、米ニューヨークの爆弾テロで、現場付近に展開する警官や消防士 写真提供:共同通信社

ニューヨークの地下鉄駅付近で爆発 容疑者はIS思想に触発

アメリカ・ニューヨークの繁華街にある地下鉄の駅付近で爆発があり、地元警察などは3人が怪我をしたと明らかにしました。パイプ爆弾を巻き付けた男が爆発させたとみられ、この男は過激派組織イスラム国に触発されていたという報道もあります。

ニューヨークでは10月末にも車両が歩行者に突っ込んで8人が死亡するテロが起きたばかりですが、今回の現場は大型バスターミナルに隣接した地下通路でした。11日月曜日の早朝、まさにラッシュアワーを直撃した爆発で、この爆発により3人が怪我をしております。

パイプ爆弾を体に巻きつけた男が拘束されましたが、この男はニューヨーク市ブルックリンに住むアカエド・ウラー容疑者27歳です。ウラー容疑者は取調べに対し「過激派組織IS(イスラム国)の活動に触発された」と話しているということですが、ISと直接接触していたという情報はありません。ブルックリンの自宅アパートでパイプ爆弾を組み立てて体に巻き付けて現場に来たということで、お腹と手に火傷を負っていますが警察の事情聴取には応じているということです。およそ7年前にバングラデシュからアメリカに移住したということです。

爆発は地下鉄タイムズスクエア駅とバスターミナルの駅を結ぶ地下通路で起きたのですが、完全には爆発せず想定外に爆発に至った可能性があるということです。完全に爆発していたら大惨事になっていた可能性が高いとされています。

一方ISをめぐってはロシアのプーチン大統領が11日、ロシア軍が駐留するシリアの空軍基地を電撃的に訪問して軍人らを前に演説し「ロシア軍がISとの戦いに勝利した」と強調し、シリアに派遣しているロシア軍の大部分の撤退を始めるように命令しました。シリアのアサド政権を後押ししているロシアは一昨年シリアに軍事介入をしたのですが、これまでの戦費はおよそ3,800億円近くに上っており、プーチン大統領は来年3月の大統領選挙の対策の上でも撤退の決断を急いだという風にも言われております。またISをめぐってはイラクでもアバーディ首相が9日「イラク全土を解放した」という宣言をしております。

シリアとイラクのISの戦闘員は一時8万人を超えると言われていたのですが、今は3,000人を下回っているということです。ですが砂漠地帯に潜んで大規模作戦を画策しているとも言われています。

米 ニューヨーク 爆弾 テロ

2017年12月11日、米ニューヨークの爆弾テロ現場周辺に展開する消防車両 写真提供:共同通信社

IS思想の世界拡散 ホームグロウン・テロリズムが横行する現代は「テロの世紀」の“第2幕”

高嶋)まずニューヨークの方ですが、タイムズスクエアのすぐそばで7時20分にと。この男はかなりのドジですよね。爆弾の作り方とかも素人なのですよね、全部自分でやったのでしょう。

手嶋)そう言っても良いのだと思います。しかし、逆に言うと素人であるということが大きな特徴で、「ISに対する勝利宣言をプーチン大統領自らが現地に乗り込んで言った」とありました。それとこの事件は地下水路で結ばれていると言って良いのだと思います。
つまりISをシリアからイラクにかけては壊滅させたということですよね。そのことは一見グッドニュースに見えるのです。しかしISというものがアメーバのように叩き潰されてそれだけ全世界に散らばって行ったということでもあります。東アジアで言うとフィリピンのミンダナオ島にも来ています。
しかも拡散するだけではなくISの呼びかけは尚も行っていますから、それを受けてインターネットでその思想に共鳴したということで、アメリカを含めて「ローンウルフ―一匹狼」で「ホームグロウン」の、今回もそうですがバングラデシュからアメリカに移住して、当然孤独です。そういう中でISの思想に共鳴するという「ホームグロウン・テロリスト」が散発的に立ち上がるということになります。

高嶋)それは全く組織関係無しに自分の心の中で何かのきっかけで、例えばISの考えに共鳴して爆弾を作って「俺も昇天するんだ」みたいな、そういう風になるのですか?

手嶋)そうなるので、ISの思想的な指導者の立場からするとある意味では大変安全なのですね。インターネットでそれを呼び掛ける、全世界で同時多発的に蜂起をしてくれるということになると、実はウサーマ・ビン・ラーディンは組織を頂点で掌握していたので、ビン・ラーディンをまさに攻撃すると当時のイスラム過激派組織というのは崩壊します。
今回は散発的なので捜査当局の側からすると始末に負えません。どこにどんな人たちがいるのか、より困難であるという点で、9・11事件以来21世紀は「テロの世紀」と言われその幕が上がったのですが、今まさにそのテロの世紀の第2幕、より困難な幕が上がったと言わなければならないということです。

高嶋)よく「蜘蛛の子を散らす」と言いますけど、あんな感じで世界中に小さいのが広がって、それぞれがいわゆるテロの意志を持っているというような、結び付かないという難しさがあると。

手嶋)世界が注目するようなところ、つまり2020年の東京オリンピック、その点では安心できないということですね。

トルコ アンカラ プーチン エルドアン

2017年12月11日、トルコ・アンカラで共同記者会見後に握手するロシアのプーチン大統領(左)とトルコのエルドアン大統領 写真提供:共同通信社

“勝利宣言”のプーチン大統領 大統領選挙への出馬を自身のカレンダーでもアピール

高嶋)それと同時にプーチンさんも自己宣伝がすごく上手くて、この間「来年3月に大統領候補にまた出るんだ」みたいなことを言いましたけど、手嶋さんがおっしゃった中で面白いのは「プーチンカレンダー」というのがあるのですって?

手嶋)これ僕は大変注目して、今年発売の2018年版も手に入れたのですが、日本でも売っています。その中の注目は3月、今お話になりました大統領選挙の月ですよね。このときに大きな写真が、おそらく背負い投げだと思うのですが、見事に相手を投げていて、“向かう所敵無し”というアピールをしているということになりますね。
そしてISとの戦いの勝利を今回現地で宣言するわけですが「ISを叩き潰したのは超大国アメリカではない。世界の皆さんよく覚えておいて下さい。この自分です」という風に言っていると。かなりのしたたかな、かつてのKGB(ソ連国家保安委員会)出身のインテリジェンス・マスターのまさに面目役ということになりますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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