JFEスチール、鉄とCFRPの複合構造を自動車ドア用に開発 軽量化と高剛性を両立

 JFEスチールは12日、薄鋼板に炭素繊維強化樹脂(CFRP)の補強部材を接着した自動車用ドアの新しい構造を開発したと発表した。研究段階の成果だが、これまで難しかったドアパネル用鋼板の薄肉化と高い張り剛性を同時に実現した。車向けで採用が広がるアルミに対抗するマルチマテリアル(複合素材)軽量化技術として自動車メーカーに提案し、最短で4~5年後の実用化を目指す。

 三菱ケミカルと共同の研究成果。開発したのはJFEの440メガパスカル級鋼板「ユニハイテン」(板厚0・5ミリ)を用いたドアパネルの内側に、複雑な線形状のCFRP部品(厚さ6ミリ、重さ約350グラム)を接着した新しいドア構造。コストやプレス成形性に優れる鋼板と軽量で高剛性のCFRPを組み合わせるという新しい発想だ。

 従来のドア構造では厚さ0・6ミリの鋼製ドアパネルを同0・5ミリに置き換えた場合、17%軽量化できる一方、張り剛性が著しく低下していた。これに対し開発構造は、張り剛性が最大61%向上し12%軽量化できる。実物大の試作品で確かめた。

 CFRPの補強部材は、コンピューターで最適な形状や適用場所を割り出すJFEのトポロジー技術を駆使して設計した。自動車業界では燃費規制などを背景に車体軽量化のニーズが一段と高まっている。JFEは得意の高張力鋼板(ハイテン)に加え、鉄鋼材料をベースに樹脂など軽量素材を組み合わせるマルチマテリアル構造も提案していく方針だ。

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