フジクラ、高電圧ハーネスで合弁 上海に設計・開発会社、EV向け需要捕捉

 フジクラは今月、中国電線大手のヘントングループとの間で自動車に用いる高電圧ワイヤハーネスの設計・開発に関する合弁会社を設立する契約を締結した。今後登記手続きを進め、2017年度内には上海に合弁会社を立ち上げる。フジクラの技術力とヘントングループが持つ現地市場への知見でシナジーを発揮。電気自動車(EV)の生産増で拡大が見込まれる需要を取り込む。資本金は1500万元(約2億6千万円)で、フジクラの出資比率は51%となっている。

 両社はすでに中国で光ファイバや電力ケーブルの事業を合弁で運営しており、自動車用ワイヤハーネスの設計・開発にも提携を広げる。同国では国策による後押しもあり、中長期的にEVの生産が拡大する見通し。高電圧ハーネスはEVの駆動用モーターやインバーター回りで使用される。

 フジクラではすでに日本市場で高電圧ハーネスの開発に取り組んでいるが、今後は成長が見込まれる中国市場でも採用を拡大させる。まずは今回の合弁で設計・開発の体制を整備。将来的には既存工場での現地生産も視野に入れている。設計と開発は共同するが、製造と販売はそれぞれが行う予定。

 中国と併せて今後は欧州や米州でも電動化など自動車の技術革新への対応を強化。自動車電装カンパニーを統括する笹川明常務取締役は「100年に1度の革新が進む中で、これから技術関連の拠点をさらに充実させていかなければならない」と話している。

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