昭和電工、東南アでアルミ缶事業拡大 さらなる増強投資、M&Aも選択肢に

 昭和電工は、東南アジアでのアルミ缶事業をさらに拡大する。今春にベトナム第二工場やタイ工場の新設を意思決定したものの、現地のアルミ缶市場の急成長に対応するため、さらなる増強投資の検討に入った。12日に都内で開催した事業説明会で森川宏平社長は「需要が好調な東南アジア市場で好機を逃さぬよう、さらなる増強投資も検討していく」と明らかにした。東南アジアでは経済成長や人口の増加、飲料容器の缶化などによって飲料用アルミ缶需要が拡大している。昭和電工は同エリアの成長率が年率9%に達するとの予測に基づき、積極策を展開する。

 同社は2014年にベトナム北部のハナキャン社を子会社化して以降、17年2月はベトナム中部に第2工場の建設を決定。さらに3月には、エナジー飲料大手のカラバオ社とタイに合弁工場を建設することも決めており、これらが稼働すれば東南アジアでのアルミ缶生産能力が年30億缶に達する見通しだ。18年中にベトナムとタイで二つの生産ラインが稼働を始める計画だが、現在進行中の増強案件だけでは将来の供給能力が不足するとの見通しから、さらなる増強の検討に入った。ベトナム第二工場、タイ合弁工場にはそれぞれ2ライン目を導入できるスペースを備えており、それらを利用する方法や「現地での当社の認知度が向上したこともあり、いろいろな話をもらっている。事業提携やM&Aということも視野に入れている」(森川社長)と説明。一方でグリーンフィールドからの進出には難色を示した。増強時期については「25年を一つの目安にしている。来年や再来年という期限ありきでは考えていない」(同)とし、タイムリーなタイミングを見極める考えだ。

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