「入ってないやん!」 大阪桐蔭「カルテット」結成へ西武28歳捕手が挑む壁

西武・岡田雅利【写真:(C)PLM】

西武“愛されキャラ”岡田、来季さらなる飛躍なるか

 大阪桐蔭高校出身であるにも関わらず、中村剛也選手、浅村栄斗選手、森友哉選手で結成された埼玉西武の「大阪桐蔭トリオ」になぜか仲間入りさせてもらえず、「(自分が)入ってないやん!」と、各地のトークショーで「お約束」を披露する岡田雅利捕手。いじられ役に徹しつつ、小気味のいいトークでチームメイトとファンを笑顔にする、埼玉西武の愛されキャラである。

 2015年のファン感謝祭では、栗山巧選手が私費で購入したという公式パフォーマンスチーム「Bluelegends」のコスチュームに身を包んで登場。以来、岡田の手の込んだ女装は、ファン感謝祭では恒例行事となっている。今年は辻監督の指令により、1人で渾身のダンスを披露してくれた。ファンサービスも野球選手の大事な仕事の1つ。チームに岡田のような存在がいることのありがたさは、ファン感謝祭の時期は特に痛感するだろう。

 また、今季、埼玉西武は4年ぶりのAクラス入りを果たした。新人王に輝いた源田壮亮選手や球界を代表する5ツールプレイヤーとなった秋山翔吾選手などが話題をさらったが、自身最多となる68試合に出場した28歳の捕手も、間違いなくチームの躍進を支えた1人である。

 岡田は奈良県出身。大阪の名門・大阪桐蔭高校に進学すると、2年夏には正捕手として甲子園に出場。3年春には同級生の中田翔選手(現・北海道日本ハム)とバッテリーを組み、全国8強の実績を収めた。高校卒業後は大阪ガスに進み、2013年ドラフトで埼玉西武から6位指名を受ける。なお、この年のドラフト1位は高校の後輩である森だ。

岡田が越えなければいけない高い壁

 昨季までは控えとしてベンチ入りすることが多かったが、今季は炭谷銀仁朗捕手が第4回「ワールド・ベースボール・クラシック」に参加していたこともあって、オープン戦からマスクを被る機会が多かった。そしてこの与えられたチャンスをものにして、少しずつ投手陣と首脳陣の信頼を勝ち取っていく。球団記録に迫る13連勝の期間も7試合で先発マスクを被り、チームをリーグ2位に押し上げる原動力の1つとなった。

 さらに9月23日のオリックス戦では、野上亮磨投手とバッテリーを組み、プロ初の完封勝利、同時に2桁勝利に導く。野上はヒーローインタビューで「岡田のリードが良かった。(バッテリーとして)いい共同作業が出来た」と、岡田への感謝を口にした。

 しかし、チームとともに大きな躍進を遂げた岡田には、来季、越えなければならない壁と死守しなければならないポジションがある。まず、正捕手の座を奪取するためには、炭谷という高い壁を越えなければならない。また、来季は森も、自慢の打撃を武器に正捕手争いに加わる。本格的にリーグ優勝を目指すシーズンになることが予想され、チーム内競争はますます激しいものとなるだろう。岡田自身もその自覚は十分のようで、後輩である森をライバルと呼び、今季打率.229に終わった打撃力向上を目標に掲げている。

 今季急成長を遂げた頼れる女房役は、埼玉西武の正捕手の座をつかみ、チームが誇る「大阪桐蔭カルテット」を結成できるだろうか。来季の岡田の活躍に期待したい。

(Full-Count編集部)

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