長崎原爆を描いた12点寄贈 独立美術協会会友 友永さん、原爆資料館に

 兄が長崎原爆で被爆した友永基美子さん(81)=西彼長与町吉無田郷=が13日、原爆の悲惨さを描いた油彩画12点を長崎市平野町の長崎原爆資料館(中村明俊館長)に寄贈した。

 友永さんは1945年8月の原爆投下当時9歳。一家は五島に住んでいたが、6歳上の兄が長崎師範学校(当時)に通っており、被爆した。父親が捜し回り、兄を連れて帰ってきたのは同年9月。「全身包帯でぐるぐる巻き。血と膿(うみ)がひどく、大好きだった兄とは思えないくらい。母は泣いてすがっていたが、私は怖くて押し入れで震えていた」と話す。

 幼いころから絵が好きで、現在は独立美術協会(東京)会友。兄のことや、被爆地の県民としてどうすべきかを考える中で、30年以上前から原爆をテーマに取り組んできた。今回、兄から聞いた体験や写真などの資料を基に描いた「ナガサキ8・9(被爆のマリア)」などを寄贈した。

 友永さんは「日本は唯一の戦争被爆国。若い人は戦争や核兵器のむごさを想像することがないかもしれない。ぜひ見てほしい」と話した。

寄贈した絵を見ながら懇談する友永さん(左)と長崎原爆資料館の中村館長=長崎市平野町、市平和会館

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