【拡大するベトナム建材市場 JFEグループの事業戦略(4)】〈鋼管杭製造合弁J・スパイラルスチールパイプ・脇屋泰士社長に聞く〉造管能力を最大限発揮、年間4万トン体制へ

管理改善、品質保証体制を強化

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――事業環境の認識からお聞きしたい。

 「上期はほぼ計画通りに推移したが下期は大型のODA案件などがずれ込んだことで苦しい状況となった。しかし、ベトナムの国内案件が増加したことに加え、周辺国の案件を受注したことで何とか穴埋めできた。鋼管杭・鋼管矢板の出荷量は17暦年で3万トンを想定していたが、ほぼ計画通りに達成できそうだ」

――主な受注案件は。

J・スパイラルスチールパイプ・脇屋社長

 「バングラデシュのグムティ橋プロジェクトでは鋼管矢板約1万2千トンを受注した。ただ、このプロジェクトはテロの影響で出荷が遅れた。年間3万トンの出荷量の3分の1を占めるプロジェクトの遅延は影響が大きく、生産の調整に苦労した」

 「また、ミャンマーのティラワ港プロジェクトでは約5千トンの鋼管杭を供給した。海外の案件は一つのプロジェクトの規模が大きく、1回に輸送する量も多くなる。工事の進捗を見ながら適切に配船を行うことなど、輸送計画の重要性が際立った1年だった」

 「ベトナム国内ではホーチミン市のムンチョイ水門は鋼管矢板2万2千トンの大型プロジェクトで5基の内2基を当社が対応した。これは土地代替のBT(ビルト&トランスファー)プロジェクトで民間が施主であるのが特徴。ホーチミン市も積極的に民間投資によるインフラ整備を推進しており、今後、こうしたスキームは増加しそうだ」

――今後の事業戦略は。

 「ベトナム国内の製油所や民間港湾、地方の公共バース、発電所などのほかインドネシアやアフリカなど国内外で大型の港湾を必要とするプロジェクトが色濃く見えている。需要量に対する生産能力の向上が最大の課題だ。造管能力を最大限発揮させるため、加工、精整、置き場など各ラインの能力をバランスよく強化することに取り組み、年間4万トン規模をこなせる体制を構築したい」

 「加えて、製造業の基盤となる品質保証(QA)を向上させていく。今年6月に工場全体の製造管理を統括する商品技術部を新設した。JFEスチールの優れた管理システムをベトナムでも構築していきたい」

――JFEグループとの連携については。

 「ジェコスベトナムとはホーチミンの地下鉄の山留材などで連携するなどよい形を作ることができた。今後の地下鉄案件でもジェコスと共にフォローしていく。また、アグリメコ&JFEスチールプロダクツ(A&J)は設立して間もないが、当社製品にA&Jの加工品を活用するなど、JFEグループ全体の商売として具体化しており非常に効果が出ている。今後も期待したい」

――フォルモサ・ハティン・スチール(FHS)との連携について想定するところを。

 「第1、第2高炉が本格稼働してホットコイルが供給されればメーンのサプライヤーの一つとして考えていきたい。来年は相当の量をFHSに期待している。これが実現すれば輸送費の削減、納期の短縮など非常に効果は大きいだろう」(村上 倫)(おわり)