対馬の特産「つつみかん」 傷もの有効活用 マーマレードとジャム人気 長崎

 長崎県対馬市南端の厳原町豆酘(つつ)集落特産の温州ミカン「つつみかん」で作ったマーマレードとジャムが、素材の甘さを生かした優しい味わいで人気だ。集落で土産物店「産直の駅」を営む阿比留保弘さん(55)が、表面の傷などで店頭に並べられない果実を有効利用しようと11月中旬から販売を始めた。島外への販売も視野に入れている。

 つつみかんは、東シナ海に面し、対馬暖流の影響で温かい斜面地で栽培している。早生(わせ)は11月初旬から収穫。カメムシの食害で傷ものが多かったが、収量は昨年より多い計1・4トンだった。

 二つの商品ともに、甘さの強いつつみかんの特長を生かそうと、砂糖の使用量は、原材料の3割程度に抑えた。

 マーマレードは、塩水に丸1日漬けてじっくりと苦味を抜き、果肉を裏ごしした果汁とともに約10時間煮込み甘みを凝縮。仕上げに豆酘産レモンを入れ、粘りや風味を調える。ジャムは、果皮と口あたりに響く中皮の白い筋を取り除いた果肉をピューレ状にした後、4時間ほど煮込む。

 当初の売り上げは1日10個程度だったが、口コミで評判が広がり、現在は40~50個ほど。「味が濃厚。水に溶いてジュースにしてもおいしかった」とリピーターになる観光客も多いという。

 阿比留さんは「特に温州ミカンのマーマレードは珍しいと好評で、今後は島外でも販売できるようにしていきたい」と話している。

 販売は来年4月ごろまで。95グラム入りでマーマレードは350円、ジャムは280円。問い合わせは阿比留さん(電080・8953・6105)。

つつみかんの皮を使ったマーマレード、果肉を使ったジャムを開発した阿比留さん=対馬市厳原町豆酘

© 株式会社長崎新聞社