レッドブルF1のニューウェイ、“醜い”ハロに複雑な思い「自分の中のアーティストが許せずにいる」

 F1マシン設計における第一人者、エイドリアン・ニューウェイは、コクピット保護デバイス“ハロ”導入に関し、ドライバーの安全性が高まることは歓迎すべきだが、自分のなかの“アーティスト”がその外観を許せずにいると語った。

 現在レッドブル・レーシングのデザイナーであり、これまで何台もの優れたマシンをウイリアムズ、マクラーレン、レッドブルのためにデザインし、成功をもたらしてきたニューウェイは、安全性を向上するものは何であっても全面的に支持すると述べている。

 それでも2018年からF1で義務化されるハロの外見には心底がっかりしているようだ。

「ハロに関しては複雑な思いがあると認めなければならない」とニューウェイは今週行われたFacebookライブセッションでSky Sports F1に対して語った。

「一方ではクルマをより安全にできることは何であっても良いことだと感じている」

「誰かが重傷を負ったり、亡くなるのは恐ろしいことだ。3年前にジャスティン・ウィルソンの葬儀に参列し、残された家族の顔に刻まれた悲しみを見るのはやりきれなかった」

「だからクルマをより安全にすることに役立つのなら、それは称賛されるべきだ」

「ただ、私の中のエンジニアの一面が、ハロはただ不格好で醜いとしか思えないと言うのだ。ハロよりも何か良い手立てがあるはずだと感じている」

 しかしニューウェイは、追加の研究なしには実現可能な代替案を見つけるのは困難だろうと認めた。

「私はより多くの研究が必要だと考えている」と彼は語った。

「おそらくキャノピーが見た目としてはより魅力的だろうが、それではクローズドコクピットのレースになってしまう」

「重要なのは、F1が何をしようと、それが下位シリーズにとって手頃な価格であるべきということだ。要するに、フォーミュラ・フォードで走るドライバーの命の価値を、F1ドライバーより低くみるべきではないからだ」

「我々は他のカテゴリーでも実現可能な解決方法を見つけ出す必要がある。だが、これが醜いという事実は否定できない。私のなかの審美眼のあるアーティストとしての一面が、不快だと感じる」

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