添い寝で不安和らげ ファシリティードッグの絵本刊行

 県立こども医療センター(横浜市南区)で医療スタッフとして働くファシリティードッグの「ベイリー」をモデルにした絵本「ベイリーとさっちゃん」が14日、刊行された。この日はベイリーの10歳の誕生日。スタッフや子どもたちは講堂でセレモニーを開き、二重の喜びを祝った。

  ベイリーはゴールデンレトリバーのオスで、専門的な育成訓練を受け、パートナーである「ハンドラー」の森田優子看護師とともに2012年から常勤している。注射や検査などの付き添いのほか、入院病棟での添い寝や手術前の見送りなど幅広い業務を担う。

 絵本の制作は、同センターで勤務経験がある県立病院機構の康井制洋副理事長の「ファシリティードッグの存在を少しでも多くの人に知ってもらいたい」との呼び掛けで実現。おなかの手術をするため入院した「さっちゃん」がベイリーと触れ合い、勇気づけられていく様子を描いた物語だ。

 セレモニーでは、子どもたちが感謝を込め、直筆メッセージや折り紙のペンダントなどを贈呈した。ベイリーはしっぽを振りながら応じ、ニンジンや鶏肉などを使った犬用バースデーケーキを平らげた。

 病棟から車いすで駆けつけた小学4年の粟野颯太君(10)=横浜市神奈川区=は入退院を繰り返すたび、ベイリーとベッドで一緒に寝るなどして不安を和らげてきたといい、「ベイリーは友だち」と優しいまなざしを向けていた。

 絵本はAB判32ページ、1600円(税別)。売り上げの3%は、ファシリティードッグ育成のため県立小児医療基金に寄付される。問い合わせは、絵本「ベイリー物語」刊行実行委員会(かまくら春秋社内)電話0467(24)7223。

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