[土持幸三の映像制作101]Vol.28 佳境を迎えた映像制作授業

txt:土持幸三 構成:編集部

バラエティに富んだ学習発表会

学習発表会は多くの保護者が来て賑わっていた

川崎市で行っている小学五年生向けの映像制作授業は佳境をむかえている。一つの学校では授業が終了し先日、学習発表会で子供達が制作した作品を保護者含め地域の方々に公開していた。毎年、先生方がテーマを決めて撮影に臨むのだが、この学校の今年のテーマは自分の好きなことや夢を紹介するもので(ちなみに去年は地域の方へのインタビューで街と学校の歴史を聞くものだった)、オリンピックが近いせいかオリンピックに出場する夢を映像でみせたり、逆にオリンピックをジャーナリストとして取材しニュース番組仕立てに創ったもの、自分の特技を映像トリックを使って紹介する作品など、バラエティに富んだ内容だった。

編集ルームで編集担当の子供達が待っている

嬉しかったのは去年授業を受けた6年生が、映像体験コーナーを設置し下級生や保護者に対してビデオカメラの使い方を指導し、撮影した素材を隣のクラスに設けた編集ルームで編集してみせるということをやっていた事で、編集ルームでは編集ソフトVegasを昨年よりずいぶん使いこなしており、編集に興味を持っている子供が授業が終わってからもソフトを使っていたのだと感じた。

また、今年は60周年とか80周年とか創立記念式典が多くの小学校で行われており、それに合わせて、自分の地元で好きな場所、総菜屋だった公園だったりを紹介する動画も作成され紹介されていた。記念式典で上映された作品では、6年生と先生方が制作された地域をテーマにした、未来へのメッセージがインタビューを交えながら表現されていて、とても良かった。式典自体も6年生が司会を担当し進め、急に児童数が増え体育館が手狭な学校らしく他の学年は、ポイントポイントだけ登場し、その他の時間はビデオカメラで撮影されいる式典映像を教室のテレビでライブで見るという、僕が子供の頃の式典とは全く違った印象の素晴らしいものだった。

保護者や低学年の児童に映像を発表する子供達

映像授業では市販の小型ビデオカメラ・三脚・マイク・パソコンを使用する学校が主で、小学生が書くオリジナル脚本で短編映画を制作する学校はプロが使うカメラ・マイクを使うのだが、今年は機材に一挙に壊れてきた。カメラの液晶が割れたりマイクが音を拾わなくなったりで、子供達は一様に丁寧には扱っているが、どうしても形あるものは壊れる。幸い、映像のまち・かわさき推進フォーラムに新しいカメラを購入していただいていたので支障はなかったが、機材管理の難しさを実感できた。

一番の問題は小さなネジ部分。子供達はネジを回す事に馴れていないので力の加減がわからないのと、ハズれるタイミングもわからないのでハズれていないのに強引に取ろうとする。カメラと三脚の取り付け部分、カメラ底のネジ穴がこの理由でほとんどダメになってしまっていた。

数年前からこの状況は把握していたので三脚のクイックシュー部分に紙などを挟みネジ穴の中でも手前側でネジが止まるよう工夫して使っていたが、ネジ穴全体がネジをカマなくなってしまった。マイクが音を拾わなくなったのはマイクケーブルの差し抜きを、プラグ部分ではなくケーブル部分を持って行ってしまうことによって中が断線していることがほとんどだ。

オリジナル脚本による短編映画制作をしている学校では監督はじめ子供達が奮戦している。監督が画にこだわり過ぎてなかなか本番を撮れなかったり、自信がなくて決めきれなかったりと様々だが、おおむね映画撮影を楽しんでくれているようだ。ただ、最近の子供らしく、CGで可能な事の知識が深く、俳優が演技しているモニター画面を見ながら、「この背景を森に変えられませんか?」と言われたのには閉口してしまった。既に授業を終えている学校もあるが、川崎での小学校映像授業は一月末まで授業は続く。

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