山陽特殊製鋼、「火花試験」解析の鋼材識別システムを開発 東京理科大と、実用化に向け検証開始

 山陽特殊製鋼(社長・樋口眞哉氏)は14日、鋼材に研削機を当てて発生させた火花の形態や色から鋼材の種類を識別する「火花試験」で、従来の目視による識別でなく、コンピューターによる画像解析で鋼材を識別するシステムを東京理科大と共同開発したと発表した。このほど製造現場に試験導入。実用化に向けて検証を進める。

 火花試験は、回転する砥石(研削機)を鋼材に当て、研削中に飛散する火花を観察して、形状や色から鋼材に含まれる成分や炭素などの含有量を識別する試験。従来、高度な熟練技能者が目視で行ってきたが、その知見や技術は短期間で習得できないことや試験の安定化などの課題から、自動化へのシフトが求められてきた。

 山特では東京理科大・工学部の小林宏教授と2010年から共同研究を実施。火花を1秒未満の高速度カメラで撮影し、高速・高精度で画像処理・解析するプログラムを開発。従来の課題だった画像解析精度や速度を大幅に改善した。

 同システムは、画像解析で火花の量や破裂数を算出し、その割合を評価することで、鋼材中の炭素含有量をプラス・マイナス0・05%で識別できる。

 現在、製造現場に設置し、実用化に向けてデータ蓄積を継続している。

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