「戌」の宝船絵で魔よけ 茅ケ崎のデザイナー

 新年の縁起を呼ぶ宝船絵を描いている美術エッセイストでグラフィックデザイナーの宮野力哉さん(83)=茅ケ崎市=が14日、来年に向けた新作を披露した。えとの戌(いぬ)にちなみ、奈良国立博物館が収蔵する狛犬(こまいぬ)をアレンジした。

 狛犬は鎌倉時代の木造彫刻で、国の重要文化財に指定されている。口を開く阿形(あぎょう)と口を閉ざす吽形(うんぎょう)で対をなしているが、同館蔵は阿形のみ。宮野さんは「狛犬は魔よけとしての役割がある」として、対にして描いた上で宝船の絵を添えた。

 横浜市中区海岸通の「横浜マリンクラブ」で同日夜、水先人ら海事関係者を招いたクリスマスパーティーがあり、宝船絵の下絵が抽選でプレゼントされた。当選者の一人で前日本船長協会会長の小島茂さん(71)=藤沢市=は「素晴らしい。来年は幸せが来ないと困るよ」と喜んだ。

 宮野さんは1997年から毎年、大阪・堀川戎(えびす)神社に原画を奉納。同神社が印刷して正月の参拝者に配っている。

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