高田明社長に聞く 予算「20億円見えてきた」

 チーム存続も危ぶまれる経営難から復活したV・ファーレン長崎。ホーム戦の運営対策をはじめ、J1を戦う土台作りは急務だ。高田明社長に、取り組みの現状や見通しを聞いた。

 -ジャパネットホールディングス傘下で、組織はどう変わったか。

 ジャパネットの労務体系などを利用し、スピーディーに改革に向かった。例えばグループ全体で残業を減らそうとしていて、そこに「サッカーチームだから」の意見は通らない。生産効率を上げながら強いチームにする。まだ道半ばだが、みんなの力でよく頑張れた。今期(2017年12月期)の赤字決算はない。来期は十分独立採算でいける。

 -J1では桁違いの予算が必要になる。

 現状が7億~8億円くらいとして、J1でみんなに感動を与えるためには15億では足りない。60億ある浦和までは無理だが、今トップセールスやさまざまな改革をしていて、20億とかは見えてきた。集客は今季終盤の名古屋戦、讃岐戦を見て心配はしていない。来季は(育成部門の)アカデミーとスクールにも、かなり力を入れる。

 -集客が増えると駐車場問題、渋滞問題が発生する。

 トランスコスモススタジアム自体は素晴らしい施設だが、周辺インフラをみると2万人が来る想定では造られていない。毎日知恵を出し合っていて、行政や企業の力も借りないといけない。臨時駅をつくる案があるが、それだけでは解決しない。「(観戦時は)健康のために歩きましょう」と発信したり、シャトルバスの駐車場をつくったりといろいろ抱き合わせ、少しでもいい方向に持って行くのが大事。スタジアムのスタッフを増やす必要もある。

 -将来的に、クラブが自由に使える専用スタジアムを用意する考えは。

 あったらいいなとは思う。でも事業費100億単位の話なので、勇気も判断もいるし軽々しくは言えない。(決定権があるジャパネットの)経営からは離れているので。やるとなったら最短でも4、5年先。

 -「平和」を発信するチームをつくると宣言した。

 われわれがやりたいことは、礼儀とかリスペクト(尊敬)の心を大事するチームをつくること。長崎、広島は世界のどこよりも平和のメッセージを出せるはず。ユニホームに平和を掲げ、相手選手やサポーターをリスペクトする。

 【編注】高田の高は、目の上と下の横棒なし

渋滞、駐車場対策について「いろいろ抱き合わせ、少しでもいい方向に持っていくのが大事」と語る高田社長=諫早市、V長崎事務所

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