オリに「吉田さん」4人、楽天「聖澤さん」は稀少!? パの「名前」あれこれ

オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】

同一苗字の多いオリックス、「佐藤さん」と「鈴木さん」も複数在籍

 ある1人の選手を応援しようと決めるとき、その理由はファンによって様々だろう。「同じ高校の出身だから」「格好いいから」「きれいなホームランを打つから」「いつでも全力プレーだから」。1つ1つ例を挙げればきりがない。そんな中でも、野球をあまり知らない人でも自ずと応援したくなってしまうのが、「自分と同じ名前」の選手ではないだろうか。そこで今回は、パ・リーグの選手たちの「名前」に焦点を当てていきたい。

◯「吉田さん」が4人在籍、同一苗字の多いオリックス

 日本人に多い苗字といえば、佐藤さんや鈴木さん、高橋さんといったところが思い浮かぶ。当然このような苗字の選手が、同じチームに複数人在籍することは珍しくない。埼玉西武の高橋朋巳投手、高橋光成投手などが例として挙げられるが、オリックスには特に同姓選手が数多く在籍している。

【佐藤さん】
・佐藤達也投手
2013年から4年連続で40試合以上に登板した鉄腕。復活が待たれる。
・佐藤世那投手
2015年の夏の甲子園準優勝投手。現在サイドスローに挑戦中。

【鈴木さん】
・鈴木昂平内野手
守備力を評価されている若手内野手。1軍で経験を積みながら打撃力向上を目指す。
・鈴木優投手
高卒3年目の今季は1軍登板ならず。ファームでは優秀な成績を残す期待の若手だ。
・鈴木康平投手
今年のドラフト2位。来季の登録名は「K-鈴木」になるという。

【吉田さん】
・吉田一将投手
今季4年目にして初の完封勝利。先発・中継ぎどちらもこなす。
・吉田凌投手
2015年の夏の甲子園優勝投手。今季は念願の一軍初登板を果たした。
・吉田正尚外野手
豪快なスイングが持ち味。「Amazing」なホームランアーティストだ。
・吉田雄人外野手
今季4年目にして初の1軍試合出場。来季はプロ初安打を目指す。

 多くの同姓選手が所属するオリックス。中でも目立つのは4選手が並ぶ「吉田さん」だ。2013年ドラフト1位で吉田一、5位で吉田雄が指名され、2名の「吉田さん」がチームに加入。さらに2015年に、またもや1位と5位でそれぞれ吉田正と吉田凌が指名され、気づけば猛牛軍団は「吉田さん」の大所帯となった。吉田凌はこれもあってユニホームの背ネームを「RYO」にしている。

 また、オリックスの苗字に関するエピソードとして、T-岡田外野手を思い浮かべる人も多いだろう。入団時は本名の「岡田貴弘」で登録していたが、2009年のオフに岡田彰布監督が就任すると、自身と同姓である岡田の改名を発案。球団が募集した中から、最後は岡田自身が選出し、「T-岡田」の登録名が誕生した。翌年には自身初の本塁打王にも輝き、現在に至るまでこの登録名で活躍を続けている。

楽天には「名前のみ」の登録名が一時期4人在籍

◯「名前のみ」の登録名

 選手の名前は、多くの場合フルネームで登録される。しかし中には、登録名を「名前のみ」にしている選手が少なからずいる。まずは、2017年に「名前だけ」の登録だった選手たちを見ていこう。

・斐紹捕手(福岡ソフトバンク※11月11日、楽天へトレード) 
・誠投手(埼玉西武)
・愛斗外野手(埼玉西武)
・銀次内野手(楽天)
・駿太外野手(オリックス)

 今季は、4球団で5選手が「名前のみ」の登録名でプレーした。銀次にとってルーキーイヤーだった2006年、楽天には「名前のみ」で登録していた日本人選手が他に4人(鉄平氏、竜太郎氏、憲史氏、カツノリ氏)もいた。杜の都ではちょっとしたトレンドだったのか。駿太は、入団時に同姓の後藤光尊氏が在籍していたため、「駿太」で選手登録。後藤氏の退団後もそれを変えることなく、今に至っている。

 また、過去に「名前のみ」で登録していた選手には、今季飛躍を遂げた福岡ソフトバンク・甲斐(昨季まで「拓也」)や斐紹とのトレードが発表された西田(2016年のみ「哲朗」)がいる。さらに、昨季千葉ロッテで引退した大村三郎氏は現役時代「サブロー」の登録名で親しまれた。

◯珍しい苗字

 初めに苗字被り、すなわちよく耳にする苗字の選手たちを紹介してきたが、今度は一転して「珍しい苗字」の選手を紹介していく。なかなかいない苗字といえば、横浜DeNAの筒香嘉智外野手や広島に在籍していた梵英心内野手などが有名だが、果たしてパ・リーグにはどんな珍名がいるのだろうか。

・聖澤諒外野手(楽天)
 野球選手の「恰好いい苗字」としてよく挙げられる「聖澤さん」は、全国に数えられるほどの人数しかいないという。その1人である聖澤は2012年の盗塁王。外野守備の名手でもあり、外野手連続守備機会無失策の日本記録保持者だ。本人は「地元(長野県千曲市)のごく狭い範囲においては、それほど珍しい苗字ではなかった」という旨の発言をしている。

・嘉弥真新也投手(福岡ソフトバンク)
「嘉弥真さん」は沖縄県に見られる苗字のようだ。嘉弥真自身は、昨秋サイドスローに転向すると、左キラーとして自己最多の58試合に登板。見事、FAで巨人に移籍した森福の穴を埋めた。漢字は違うが、この苗字にちなんで「ゆうぞー」と呼ぶ人もいるとか。

 以上、3つのポイントから、「選手の名前」にフォーカスしてみた。この他にも、調査対象として興味深いテーマはいくらでも発見できそうだ。まだ難解なルールや戦略を理解できないという人は、プロ野球を掘り下げるとっかかりのひとつとして、あるいは、いつもとは違う視点からより深くプロ野球を楽しむ手段のひとつとして、たまには選手の「名前」について注目してみるのも、ありなのではないだろうか。

(Full-Count編集部)

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