最新文具に長蛇 化粧品、時計など老舗とコラボも

 日本最大級の文具の祭典「文具女子博」が17日までの3日間、東京・平和島の東京流通センターで開かれた。老舗からユニークなアイテムを発売する新鋭まで文具メーカー82社計2万5千アイテムが一堂に集まった会場では記念グッズや限定アイテムの販売もあり、初開催ながら連日入場規制がかかる盛況ぶり。巨大えんぴつやペンケース型のいすが置かれたフォトブースでは、SNS投稿用の写真を撮影しようと文具ファンが長い列を作った。

 消耗品ではなく、自分らしさを表現したり、心地よさを追求したりするアイテムとして市場を拡大している文具。レストランでワインを選んでくれるソムリエのように、おすすめの文具を紹介してくれる専門家が現れるなど、「こだわりの一品を持ちたい」と考える人が増えている。

 限定品が並ぶブースはどこも黒山の人だかり。横浜市青葉区から友人と訪れた会社員の女性(20代)は、「ノートや手帳、ペンは毎日手にするものだから、見て触れたときに元気になるものに囲まれたい」と付せんとマスキングテープを買い込んだ。パンダをモチーフにした付せんは、事務職の仕事での伝言を記すために購入。「(上野動物園で誕生した)シャンシャンみたいでかわいい。同僚に用件を伝えるだけではさみしい。仕事の合間にほっとしてもらえたら」と話していた。ツリーやベルなどが描かれたテープは、クリスマスプレゼントの包装に使うという。

 体験コーナーでは家族連れの40代男性会社員(川崎市中原区)が、無料のオリジナルノート作りに挑戦。表紙や中表紙、挟み込む紙まで自在に選択できるとあり、「最初は何を選べばいいか、頭が真っ白になった」と苦笑いしたが、「娘と初めて挑戦したステンシルが面白かった。(ノートに)愛着がわいた」と世界で一つだけのノートを手に笑顔を見せた。30代の妻は、「マスキングテープやステッカーなどが使いたい放題で、文具好きにとっては聖地」と満足そうだった。◆さまざまなコラボレーションも 会場内には文具メーカーとコラボレーションしたブースもあり、来場者の目を引いていた。中でも1968年に発売された消しゴム「レーダー」とクレアモード(大阪府大阪市)がタッグを組んだ化粧品は、消しゴムと同じ青色のパッケージがそのままデザインされており、「これは何?」と足を止める人が多く見られた。

 化粧水、乳液など5種類あり、中でもピーリングジェルは、「消しゴムで消すように、肌の汚れや古い角質をボロボロと落とすことができる」と女性担当者。手に取りやすいデザインは「洗面台に置きやすい」と男性にも人気という。また商品は香港で100店舗以上展開する輸入雑貨専門店でも取り扱われており、「国内よりもたくさん売れていて驚いている。新商品も投入していきたい」と語った。

 クレヨンやクーピーでおなじみの「サクラクレパス」は、ラムネ飲料、ブランケットなど異業種との新商品発表が盛ん。中でも時計専門店「タイムステーションNEO」で扱われている「クレパス柄トケイ」はカラフルな色使いや、クレパスをデザインした針がかわいいと人気だ。この冬には新色4色が追加されるヒット作となっている。会場では、来春発売になる新色10色を先駆けて公開。20代の女性は「クレパスと同じ、ポップな色がいい。いくつもほしくなる」と迷っていた。柔らかいシリコン製のバンドが採用されており、愛用する小学生も多いという。

 女性担当者は「母子やカップルでおそろいにする人が多い。落ち着いた色合いのものは、50、60代の方にも支持されていて、幅広い層が手に取っている」と話していた。

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