弥生時代の「食」探究 逗子・池子遺跡の研究紹介

 池子米軍住宅建設に伴って発掘調査が行われた逗子市の「池子遺跡」についての研究内容を紹介するシンポジウムが17日、逗子文化プラザ市民交流センター(同市逗子)で開かれた。約2千年前の弥生時代の人々がどのような食生活を送っていたかがテーマ。人骨や穀物の種などから分析した成果が明らかにされた。

 東大大学院の杉山浩平特任研究員を代表とする池子遺跡研究グループの主催。池子遺跡は京急線神武寺駅前の山側に広がり、発掘調査は1989〜94年度まで行われた。

 水分の多い低湿地の遺跡のため、木や骨、種など多様な遺物が良好な状態で残っていたのを確認。同グループは2年ほど前から、それら遺物の調査と分析を重ねてきたという。

 シンポでは、グループの一員である東大総合研究博物館の米田穣教授が、出土した人骨から抽出したタンパク質の分析結果から当時の食生活を推察。「イネを中心とする農作物と水産物を食べ、アワやキビといった雑穀はあまり食べていなかった」と報告した。

 また、海が近いが、漁業に専従して海産物をあまり多く取っていた人々ではなかったと説明。三浦半島は縄文早期から中世までさまざまな人骨が出土する珍しい地域とし、「同じ地域で生活の変化を追い掛けることができる」と意義も語った。

 このほか、出土した土器に残る穀物の種や土器に付着した「おこげ」から、当時の農耕のスタイルや調理方法を考察するなど、ユニークな発表が続いた。

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