新日鉄住金の君津第2高炉、「高出銑比操業」軌道に 鉄源安定供給に寄与

 新日鉄住金は君津製鉄所(千葉県君津市)の第2高炉(炉容積4500立方メートル)で国内最高の出銑比(炉容積1立方メートル当たりの日産量)を維持しながら、ほぼ1年間にわたり安定操業することに成功した。君津は昨年3月、高炉1基を休止し、現在、高炉2基体制の下で従来の高炉3基体制と同等の生産規模を目指している。その実現のカギとなる高出銑比での高炉操業が軌道に乗った格好で、高炉2基体制の下で鉄源の安定供給が可能となる。

 新日鉄住金は君津第2高炉で高炉の生産効率を示す出銑比を通常より大きく引き上げる「高出銑比操業」を行っている。原料条件や送風条件の工夫などにより単位時間当たりの出銑量を増やす高度な操業法だ。

 君津第2高炉は昨年11月から高出銑比操業を本格的に開始し、その後の操業状況が注目されていた。高出銑比操業の導入により単位時間当たりの出銑量は2割程度増えているもよう。生産所要の変動に合わせた出銑比の増減調整もスムーズに行うことが可能となるなど操業ノウハウの蓄積も進んでいるようだ。

 大型高炉で高出銑比操業を行うのは技術的に難度が高いとされる。国内製鉄所ではこれまで、大型高炉で数カ月程度の高出銑比操業が行われた事例はあるものの、1年という長期継続に成功したのは今回が初めて。

 世界的に見ても大型高炉で高出銑比操業技術を導入している鉄鋼メーカーは数社程度に限られるとみられる。

 新日鉄住金はコスト競争力の強化を狙いに2016年3月、君津製鉄所の高炉1基を休止し、高炉3基体制から2基体制に集約した。高炉2基体制の下でも従来の3基体制と同じ生産規模を目指しており、その実現に向けた新技術として第2高炉に高出銑比操業を導入していた。

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