【記者座談会 鉄鋼この1年】〈(4)主原料・冷鉄源〉原料炭、豪州台風被害で急騰

鉄スクラップ、4年ぶり高値

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――次は鉄鋼原料に移ろう。主原料では昨年に続き原料炭が乱高下した。

A 昨年は供給不安をきっかけに秋以降スポット価格が急騰。一時はトン310ドルの高値を付けた。その反動から年明け後は150ドル程度で落ち着いた展開となっていたが、大型サイクロン「デビー」がオーストラリア東部を襲った3月末に状況は一変した。炭鉱から港までの鉄道が被害を受け有力石炭会社が相次ぎ不可抗力条項を発動。3月末に150ドル程度だったスポット価格はわずか2週間で300ドル超に跳ね上がった。

B 原料炭の四半期価格のピークは1~3月積みの285ドルだったよね。

A 1~3月積みは昨秋の急騰を反映した価格。サイクロンによる市場への影響は4月いっぱい続いたものの、その後は落ち着きを取り戻したので4~6月積み価格は194ドルまで下がった。

C 嵐は大きな被害をもたらしたが、一瞬にして過ぎ去ったという感じかな。

A そうとは言えない。昨年に続く乱高下を受けて、値決め方式の議論が浮上。結局、原料炭も鉄鉱石と同じようにスポット連動型に移行した。値決め方式の変更は鋼材取引にも影響を与えかえないから、嵐の影響は相当に大きかったとみるべきだろうね。

B 鉄鉱石、原料炭がスポット連動となったことで、鉄鋼原料の先物取引が話題にのぼるようになった。鉄鋼原料もそのうち、非鉄金属みたいに投機商品になってしまうのかなあ。

A 確かに中国・大連やシンガポールの取引所では、鉄鉱石を中心に先物取引のボリュームが膨らんでいる。ただ現状では、参加者は個人投資家や一部の機関投資家に限られる。市場の透明性、流動性などを冷静にみると、今はまだ高炉メーカーなどの当業者が参加するような取引所とはなっていない。ただ、高炉メーカーが全く無関心というわけではない。不透明かもしれないがスポット市場の動きが結局、購買価格に反映されているのだからね。先物取引について、当然スタディーはしている。

――今年は主原料だけでなく、合金鉄や亜鉛、錫などの非鉄金属も上昇した。鉄スクラップはどうだったのかな。

D 価格は昨年と同じで年初が最も安かった。関東地区メーカーの炉前価格(H2)は年初が2万7千円前後。4月と10月に調整局面があったものの、おおむね右肩上がりの展開が続き、足元は3万5千~6千円どころ。今年1年間で9千円ほど上昇した格好だ。

E 年末の価格が1年で最も高いのも昨年と同じだね。要するに一昨年の11月をボトムにここ2年間はずっと上げトレンドが続いている。上昇傾向が続いている理由は。

D 鉄鉱石や原料炭の価格が高値で推移していることもあるが、やはり中国の動きが上げ下げ両面で大きく影響している。

A 中国では「地条鋼」が6月末までに全廃された。これで日本の鉄スクラップ市況は下がったんだよね。

D 確かに日本の市況は4月から5月半ばまで大幅に下落したが、海外の下落を受けた船積み低調などが直接的な要因。必ずしも「地条鋼」の影響とは言い切れない。ただ地条鋼の全廃で中国産の鉄スクラップが行き場を失うのではと不安視される中、5月に東京製鉄が九州工場に中国から鉄スクラップを輸入。「恐れていたことが現実になった」と強い危機感が市中に広がったことも事実だ。

E 中国の鉄スクラップ輸出は4月に1万5千トン程度だったが、9月は50万8千トン、10月は29万5千トンと高水準だ。日本への輸出は少ないが、東南アジア向けが多い。日本とは輸出市場が競合する。日本が将来の輸出先と期待するインド市場などに中国の輸出が先行していることは要注意だ。

E これまで中国製ビレットを調達していた台湾や東南アジアが日本に調達先をシフトしている。その結果、年後半から日本の鉄スクラップ市況は国内要因で値上がりする形となっている。

D 日本が海外市況をけん引する形になっているのは異例の展開だね。足元のメーカー買値は約4年ぶりの高値水準。内需堅調が市況の上げ要因とすれば、ビレット輸出が息切れしないか心配だね。