ホークス和田が契約更改“恒例”の環境改善提案、怪我をして分かった課題とは

契約更改に臨んだソフトバンク・和田毅【写真:藤浦一都】

昨オフは球団スタッフの筑後への交通費負担を球団に要望

 ソフトバンクの和田毅投手が18日、福岡市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、現状維持の年俸4億円で契約を更改した(金額は推定)。和田は日本球界に復帰した2015年オフに3年契約を結んでおり、来季はその3年目となる。

 今季は開幕直後から左肘の違和感に苦しみ、5月には左肘の遊離軟骨除去手術を受けた。シーズン終盤に復帰したものの、登板は8試合にとどまり、4勝0敗、防御率2.49の成績。和田本人も「今年1年貢献できなかったことを謝りました。申し訳ない1年だったと話しました」と語った。

 その和田は例年、契約更改の席で球団に対して様々な改善案を出している。昨年は、ファーム施設のある筑後へ通うスタッフらの通勤にかかる交通費を球団で負担できないか、というものだったが、今年は2つの提案を行なった。その1つが、リハビリ組の状況改善についてだった。

 今季、和田は左肘の手術を受け、シーズンの大半をリハビリ組として過ごした。リハビリ組は福岡・筑後市にあるファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」まで通っており、「ヤフオクドームの近くにリハビリ組がリハビリをできる施設があれば」と要望。「ジェンセンが怪我しながら、新幹線に乗っているのを見て可哀想だな、と思った」。外国人のカイル・ジェンセン内野手(今季限りで退団)が右内転筋の肉離れを負った際に、足を引きずりながら新幹線に乗る姿を見たことがきっかけだった。

「足をもし骨折したら、松葉杖をついて新幹線で行かないといけないのかな、とか。ドームのそば、福岡市内にあれば便利だなと」と和田。今オフの契約更改交渉では、寮生だった上林がシーズン中盤以降に筑後の選手寮からの通いとなり、それが肉体の負担となったことを訴えたが、リハビリ組という観点からも、筑後という立地について選手サイドから課題を出される形となった。

ヤフオクDの浴場へモニター設置を要望「試合がどうなってるか分からない…」

 さらに、和田は「もし、こっちにリハビリができて、キャッチボールやランニングができる室内トレーニング場があると変わる。そこに泊まれる部屋があれば、宿泊もできる。昼過ぎとか夕方とか使わない時間帯は野球振興部が使って野球教室とかにも使えるんじゃないか。オフにも練習ができますし」と訴えた。

 もう1つの要望が、ドーム内にある浴場へのモニター設置だった。試合中でも、その試合の先発投手ではない投手はトレーニングを行なったり、入浴などによる疲労回復などを行ったりと、それぞれの調整に取り組む。試合中盤以降に投げる中継ぎの投手にも、ルーティンの一環として試合中に入浴する選手もいる。

「試合中にお風呂に入ると、試合がどうなっているか分からなくなる。試合の流れが分からないのもどうかと思うし、出てから聞くのも…」と和田。リハビリ組の要望に関しては物理的な問題もあり、実現可能かは難しいところだが、モニター設置に関しては球団からも前向きな回答をもらったようだった。
 
 例年、チームがより良くなるように訴えている。1月からの自主トレでは、昨年からの笠谷俊介だけでなく、新たに16年ドラフト1位・田中正義投手や育成選手の伊藤祐介投手、斎藤誠哉投手も門下生に加わる予定だ。
 
「8試合しか投げていないし、4つしか勝っていない。全く働くことができなかったので、申し訳ない1年だった。やはり怪我をしてはダメだなと。来年同じことになったら、培った信頼は消えてしまうでしょうし、若い選手がいれば僕らは消えていくのが世の常だと思っている。同じようなことがないように、若い子には負けたくないし、壁になれるような結果、ボール、全てで勝っていけるように頑張っていきたい」

 3年契約の最終年。37歳となるベテランは、再起に向けて燃えていた。

(Full-Count編集部)

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