「土佐ジロー」で限界集落売り込め

発信続ける女性社長に支援の輪

「はたやま夢楽」の社長小松圭子さん=7月、高知県安芸市

 高級地鶏「土佐ジロー」を育てながら、高知県安芸市の「限界集落」で宿を営み、地域の活性化に取り組む女性がいる。農業体験のインターン生を受け入れ、講演や新聞、ネットを通じて自らの挑戦を発信する精力的な姿に支援の輪が広がり、運営する宿泊施設や食堂には年間約3千人が訪れる。

 ▽この人とにぎやかな田舎を

 有限会社「はたやま夢楽(むら)」の社長小松圭子さん(34)が暮らす畑山地区は、安芸市の市街地から車で約40分。林業の衰退とともにかつて約800人いたという人口は約50人まで減少、うち約30人が65歳以上という限界集落だ。

 圭子さんは愛媛県宇和島市出身。大学時代に偶然畑山を訪れた際、人口減少が続く故郷と重なり「本当に村がなくなってしまう」とショックを受けた。2006年、地元愛媛新聞の記者になったが、土佐ジローを育てる靖一さん(59)に惚れ込み、「この人とにぎやかな田舎をつくろう」と畑山に飛び込む決意を固め、10年に結婚、退社した。

 ▽息つく暇ない

 鳥料理が目玉の宿の女将として、接客にいそしみながら、土佐ジローのニュースレターを手作りし、通信販売など販路を開拓してきた。ブログで情報発信しながら、機会をとらえていろいろな新聞に記事を書いてきた。講演依頼も増え、今年7月には東大弥生キャンパスで、11月には秋田県大仙市でも講演した。月に1、2回、地元テレビ局の情報番組にレギュラー出演。4月からは、全国農業新聞に月1度、連載している。

 限界集落で約20年ぶりに生まれた2人の息子の子育てもあり「息つく暇がない」と話すが、笑顔には充実感がにじむ。16年、農業体験のインターンに東京から参加した20歳代の女子大学生は17年春から、「はたやま夢楽」で働き始めた。圭子さんのような外からの人材が、地域に活気をもたらしている。

 ▽流れ食い止めたい

 畑山地区に至る山道は細い。自動車ですれ違うのが大変なところもある。「初めてやってきた人は、結構運転に苦労して、到着時には不機嫌なこともある」と靖一さん。「そんな人も、土佐ジローの炭火焼と親子丼を食べると、笑顔になって帰って行く。こんなにうれしいことはない」。土佐ジローは1年で、約1万2千羽を生産、出荷している。

 圭子さんは17年秋、経営改善をめざし、宿の温泉を改修するためインターネットの「クラウドファンディング」にチャレンジ。全国の168人から、予想を大幅に上回る約235万円の支援が集まった。「自分の活動が評価されたようでうれしかった」と喜ぶ。改修は18年3月末までに終える予定だ。

 「限界集落が消滅するのは自然の流れかもしれない」と圭子さん。「それでも」と言葉を続け「大好きな畑山で暮らし続け、その流れを食い止めてみたい」。(共同通信=高知支局・伊藤陸)

「土佐ジロー」を調理する小松靖一さん=9月、安芸市

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共同通信

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