浜屋百貨店「アリペイ」など導入 訪日中国人のモバイル決済に対応

 増加する中国人観光客の利便性を高め集客を図ろうと、浜屋百貨店(長崎市)は22日から、中国で普及している二つのスマートフォン向けモバイル決済システムを導入する。一部の大手量販店などが既に導入しているが県内では先駆的な取り組み。

 同社の企画開発室によると、長崎港へのクルーズ船寄港が131回と大きく増えた2015年以降、訪日客向けの売り上げは拡大。17年も11月末現在で前年同期に比べ2倍に増えている。免税品の取扱高ベースでみると、売り上げの8割以上を中国人が占め、中国発着のクルーズ船が寄港した日は化粧品や子ども服の売れ行きが好調という。

 今回導入する決済システムは、中国最大のショッピングサイトを運営するアリババグループの「アリペイ」と、中国で約10億人が利用している通信アプリ「ウィーチャット」を運営するテンセントグループの「ウィーチャットペイ」。いずれも中国国内で急速に普及しており、二つ合わせてモバイル決済の9割を超えるシェアを持つ。

 日本国内でもこの1年ほどで大手の量販店やコンビニ、百貨店などが導入。既に導入した沖縄、福岡両県の百貨店ではモバイル決済による売り上げが、これまで主流だった中国の決済カード「銀聯(ぎんれん)カード」を上回る月もあるという。

 モバイル決済を利用する際は、客がスマホでアプリを立ち上げて2次元コードを表示し、店側はタブレット端末のカメラでコードを読み込むだけで完了する。同社は決済手数料を負担するが、新たなシステムは不要。数台のタブレット端末とネットワーク環境を整えるだけで、投資は少額で済むという。  日永潔企画開発室長は「通信アプリ『ウィーチャット』を使って『浜屋ではモバイル決済が使える』という情報が拡散するとみられ、その効果は大きい。浜屋や浜町に中国人を呼び込みたい」としている。

スマートフォンに表示された2次元コードをタブレット端末で読み込んで決済する「ウィーチャットペイ」のシステム(ビリングシステム提供)

© 株式会社長崎新聞社