爆笑の中に垣間見えた強い思い 人的補償で西武入りの高木が秘める新たな夢

西武への入団会見を行った高木勇人【写真:上岡真里江】

早くも“高木ワールド”全開、人的補償で西武加入の右腕が爆笑会見

 国内フリーエージェント(FA)権を行使し巨人に移籍した野上亮磨の人的補償として西武に入団した高木勇人が20日、球団事務所(埼玉県所沢市)で記者会見を行った。背番号は『20』に決まった。

 笑いの多い会見となった。高木といえば、お立ち台でのおもしろ発言が有名で、人気の一因となっているが、新天地での初舞台も、早速報道陣を“高木ワールド”に巻き込んだ。

 18日に巨人球団から告げられた突然の移籍通達に、「いきなりだったので、びっくりしました」と、率直な思いを口にした28歳右腕。「前日(17日)にもイベントに参加していて、最後のコメントで、『来年もここに来ま~す!』と言っていたのに、次の日、『ありがとうございました』って頭を下げてました」と、事の急転ぶりを笑いを交えて説明した。

 また、パ・リーグは打席に立たないという話題に話が及ぶと、「指を詰める心配もないですしね(笑)」。今年4月19日のヤクルト戦で自身の打席でバントをした際、右指を投球とバットの間に挟み、長期離脱した苦い経験を自虐ネタにし、爆笑を誘った。

 もちろん、心の中は多いなる希望に満ちている。わずか3年でのプロテクト外に、内心、ショックは小さくないはずだ。だが、「昔から、ジャイアンツが好きで、ジャイアンツを倒すために違うチームに入ってというのは考えていました。ジャイアンツが大好きだからこそ、ジャイアンツの選手と対戦したいというのが、野球を始めてからすぐに持っていた夢でした。だからこそ、すごく良いチャンスが来たなと思っています」。

 2014年ドラフト3位で指名してもらい、3年間お世話になった、愛して止まない巨人への想いの深さを、今後は“打倒”という形で伝えていく。

球団幹部は先発期待、強力打線で「勝ち星の面でも今まで以上につくと思う」

 先発、中継ぎとも対応可能だが、先発の駒不足は今シーズン中でも大きな課題の1つだった上、ローテーションを支え、11勝を挙げた野上がチームを去った事情も含め、先発起用が有力とみられる。鈴木葉留彦球団本部長は、「球団としてもフロントとしても先発。あとは、現場の監督、コーチがどういう判断をするか。先発であれば、普通に5~6回を投げてくれれば、今のうち(の打線)には3、4点は返せる力はあるので、勝ち星の面でも、今まで以上につくと思う」と、自慢の西武打線がさらなる飛躍の後押しとなることに期待した。

 新天地でのテーマには「パワー」を掲げた。単なる“力”の意味ではなく、そこには「内面から出てくるエネルギー、情熱を皆さんに感じてほしい」との熱い想いが込められているという。

「プロに入ってこの3年間で出会った、世界を旅している人、ずっと日本を走ってきた人などから話を聞き、ものすごいパワーを感じて、すごいなぁと思ったんです。どんな時も、パワーにあふれる人に憧れています。僕もそういう人になりたい!」

「……と、今年の自分のテーマを決めて意気込んでジャイアンツの球団事務所に契約に行ったんです。そうしたら、『西武で』ってなってしまって(笑)」

 最後も、きっちりとオチをつけて笑いをとったが、西武での新たな人生に懸ける並々ならぬ思いの強さは十分伝わった。「先発、中継ぎとかではなく、『ここ』と必要されたところどこでも対応できる、対応力をアピールしたい。このチームの優勝に少しでも貢献できるように頑張っていきます」。パワー全開、フル稼働を誓った。

(Full-Count編集部)

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